蟯虫症
概要
蟯虫症はEnterobius vermicularisによる寄生虫感染症で、主に小児に多く発症する。肛門周囲の強い掻痒感が特徴で、集団生活により感染が拡大しやすい。
要点
- 肛門周囲の掻痒感を主症状とする寄生虫感染症
- 小児や集団生活で流行しやすい
- セロテープ法による診断と駆虫薬による治療が基本
病態・原因
蟯虫(Enterobius vermicularis)は経口感染で体内に入り、腸管内で成虫となる。夜間に雌虫が肛門周囲に産卵することで強い掻痒感を生じ、手指や衣類、寝具などを介した二次感染が起こりやすい。
主症状・身体所見
肛門周囲の強い掻痒感が最も特徴的であり、特に夜間に増悪する。掻痒による二次感染や湿疹、稀に虫体の迷入による膣炎や尿路症状を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| セロテープ法 | 蟯虫卵の検出 | 早朝の肛門周囲から採取 |
| 便検査 | 通常は卵検出困難 | セロテープ法が推奨される |
蟯虫症の診断は、セロテープ法により早朝の肛門周囲から卵を検出することで確定する。便検査では卵の検出率が低い。臨床症状と検査結果を総合して診断する。
治療
- 第一選択:駆虫薬(ピランテルパモ酸塩、メベンダゾールなど)を1回投与し、2週間後に再投与
- 補助療法:爪を短く切る、手洗い・清潔保持、寝具や衣類の洗濯
- 注意点:家族や集団全体で同時治療を行い、再感染防止に努める
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 回虫症 | 肛門掻痒より腹部症状が主体 | 便中に回虫卵検出 |
| 鞭虫症 | 無症状または消化器症状が中心 | 便中に鞭虫卵検出 |
補足事項
成人にも感染することがあり、無症状例も少なくない。再感染が多いため、環境整備と生活指導が重要となる。学校や保育施設での集団発生例に注意が必要。