薬剤誘発ループス
概要
薬剤誘発ループスは特定の薬剤の投与により全身性エリテマトーデス(SLE)に類似した症候を呈する疾患。薬剤中止により症状が改善することが特徴で、抗ヒストン抗体陽性が多い。重篤例は稀で、予後は良好なことが多い。
要点
- 特定薬剤の投与でSLE様症状が出現
- 抗ヒストン抗体陽性例が多い
- 薬剤中止で速やかに改善する
病態・原因
主にヒドララジン、プロカインアミド、イソニアジド、メチルドーパなどの薬剤が原因で、自己免疫反応が惹起される。遺伝的素因や長期投与が発症リスクとなる。免疫系の異常活性化により自己抗体が産生される。
主症状・身体所見
発熱、関節痛、筋痛、発疹などSLEに類似した症状がみられるが、腎障害や中枢神経症状は少ない。胸膜炎や心膜炎を伴うこともある。皮膚症状や全身倦怠感も認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 抗ヒストン抗体 | 陽性 | 薬剤誘発例で高頻度 |
| 抗核抗体(ANA) | 陽性 | SLE同様に高頻度 |
| 血液検査 | 白血球減少、貧血など | 汎血球減少はまれ |
抗dsDNA抗体は陰性~弱陽性であることが多く、腎障害や中枢神経障害は少ない。診断は薬剤歴と臨床経過、抗ヒストン抗体陽性で確定する。
治療
- 第一選択:原因薬剤の中止
- 補助療法:NSAIDsや少量ステロイドによる対症療法
- 注意点:再投与の回避、症状の遷延時は専門医相談
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 全身性エリテマトーデス | 腎障害・中枢神経症状が多い | 抗dsDNA抗体陽性が多い |
| 関節リウマチ | 関節破壊・リウマトイド因子陽性 | 抗CCP抗体陽性 |
補足事項
薬剤誘発ループスは予後良好だが、重篤な臓器障害が出現する場合はSLEとの鑑別を厳密に行う必要がある。再発防止のため原因薬の再投与は厳禁とする。