茎捻転
概要
茎捻転は、卵巣や卵巣腫瘍などの付属器が自らの支持組織(茎)を軸にしてねじれることで血流障害をきたす急性腹症である。特に卵巣嚢腫などの腫瘍性病変に合併しやすく、迅速な診断・治療が重要となる。
要点
- 卵巣腫瘍や嚢胞がある女性で急性腹痛を生じる
- 血流障害による壊死や腹膜炎をきたすことがある
- 画像診断と緊急手術が治療の中心となる
病態・原因
卵巣や卵巣腫瘍が自らの茎(靱帯)を軸として回転し、動静脈・リンパ管の流れが障害される。卵巣嚢腫や成熟嚢胞性奇形腫など可動性の高い腫瘍で発生しやすい。妊娠初期や排卵誘発後にもリスクが高まる。
主症状・身体所見
突然発症の激しい下腹部痛が特徴で、悪心・嘔吐を伴うことが多い。腹部圧痛、筋性防御、腫瘤触知などがみられる。発熱や白血球増多を伴う場合は壊死や炎症の進行を示唆する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 超音波検査 | 卵巣腫瘍・嚢胞の腫大、血流低下 | ドプラで血流評価が有用 |
| CT/MRI | 腫瘤の位置異常、浮腫、血流障害 | 他疾患との鑑別や壊死の評価に有効 |
超音波検査で腫瘤と血流障害を確認し、CTやMRIで周囲臓器との関係や壊死の有無を評価する。臨床的には急性腹症の鑑別として考慮し、画像と症状から総合的に診断する。
治療
- 第一選択:緊急手術による捻転解除または付属器摘出
- 補助療法:術前・術後の輸液管理、鎮痛、抗菌薬投与
- 注意点:壊死例や再発例では付属器摘出を選択、妊娠希望時は卵巣温存も検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性虫垂炎 | 右下腹部限局性圧痛、発熱 | 画像で虫垂腫大・壁肥厚 |
| 絞扼性イレウス | 開腹歴や腸閉塞症状、腹部膨隆 | 画像で腸管拡張、ニボー像 |
| 異所性妊娠 | 月経遅延、妊娠反応陽性、出血 | 超音波で子宮外妊娠像 |
補足事項
発症後時間経過とともに卵巣壊死や腹膜炎へ進行するため、疑えば速やかな手術適応が重要となる。妊娠可能年齢女性の急性下腹部痛では必ず鑑別に挙げる。