色素性乾皮症
概要
色素性乾皮症は、紫外線などのDNA損傷修復障害を主因とする常染色体劣性遺伝疾患である。皮膚の光線過敏と進行性の色素沈着、皮膚悪性腫瘍の高頻度発生が特徴。神経症状を伴うこともあり、早期からの紫外線防御が予後改善に重要となる。
要点
- DNA修復障害による光線過敏と皮膚腫瘍多発
- 常染色体劣性遺伝で小児期より発症
- 紫外線防御と皮膚腫瘍の早期発見が重要
病態・原因
ヌクレオチド除去修復(NER)系の酵素異常により、紫外線などで生じたDNA損傷が修復できず細胞死や発癌を引き起こす。常染色体劣性遺伝形式をとり、複数の遺伝子型(XP-A~G、バリアント型)が存在する。
主症状・身体所見
幼児期から顔面・手背など露光部に強い日焼け反応、雀卵斑様色素斑、乾燥、萎縮、しばしば皮膚の悪性腫瘍(基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫)が多発する。重症例では神経障害(知能低下、聴力障害、小脳失調)がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚生検 | DNA修復異常、腫瘍性変化 | 病理組織で特徴的所見 |
| 遺伝子検査 | XP関連遺伝子変異 | サブタイプ同定に有用 |
| DNA修復能試験 | 修復活性低下 | 紫外線照射後のDNA合成能 |
遺伝子診断やDNA修復能検査が確定診断に有用。皮膚所見と家族歴、早期からの悪性腫瘍発症も診断の手がかりとなる。
治療
- 第一選択:徹底した紫外線防御(衣服、サンスクリーン、遮光フィルム)
- 補助療法:皮膚腫瘍の早期切除、定期的な皮膚・眼科・神経学的フォロー
- 注意点:神経症状進行例では対症療法、遺伝カウンセリングも重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 先天性白皮症 | 全身性の色素欠乏、悪性腫瘍リスク低い | メラニン合成酵素異常、DNA修復能正常 |
| 弾力線維性仮性黄色腫 | 黄色調皮膚変化と網膜・血管症状 | 弾力線維の石灰化、DNA修復能正常 |
| 光線過敏症 | 紫外線曝露による皮膚炎症 | DNA修復能正常、悪性腫瘍頻度低い |
補足事項
紫外線防御の徹底が生命予後に直結するため、家族・学校・社会全体での支援が求められる。近年は遺伝子治療や分子標的治療の研究も進行中。