腸腰筋膿瘍
概要
腸腰筋膿瘍は腸腰筋内に膿瘍(膿の貯留)が形成される疾患で、原発性と続発性に分類される。発熱、腰痛、歩行障害など非特異的な症状が多く、診断が遅れることもある。近年は画像診断の進歩により早期発見が可能となっている。
要点
- 原因は血行性感染または隣接臓器からの波及が多い
- 画像診断(CT/MRI)が診断の決め手
- 早期の抗菌薬投与とドレナージが重要
病態・原因
腸腰筋膿瘍は血行性感染(原発性)や消化管・脊椎など隣接臓器からの波及(続発性)で腸腰筋内に膿が貯留する。原因菌は黄色ブドウ球菌が最多で、免疫低下や糖尿病、外傷、手術後などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
発熱、腰痛、股関節痛、跛行が主症状で、腹部や腰部の圧痛、腸腰筋徴候(股関節の屈曲障害)がみられる。症状が非特異的なため、しばしば診断が遅れる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球増多、CRP上昇 | 感染の指標 |
| 造影CT/MRI | 腸腰筋内の低吸収域・腫脹 | 膿瘍の局在・大きさの評価に有用 |
| 血液培養 | 起因菌同定 | 原因菌検索・治療方針決定に重要 |
造影CTやMRIで腸腰筋内の膿瘍形成を確認し診断する。血液培養や膿瘍穿刺液培養で起因菌を同定する。超音波検査も補助的に用いられる。
治療
- 第一選択:抗菌薬投与(起因菌に応じて調整)
- 補助療法:経皮的または外科的ドレナージ
- 注意点:治療遅延による敗血症・再発に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腎膿瘍 | 発熱・腰痛だが腎部に限局、尿所見異常 | 腎エコー・CTで腎内病変 |
| 化膿性脊椎炎 | 背部痛・発熱・神経症状が主 | MRIで椎体・椎間板の炎症 |
| 急性虫垂炎 | 右下腹部痛、圧痛、反跳痛 | CTで虫垂肥厚、腸腰筋膿瘍なし |
補足事項
高齢者や免疫抑制患者では症状が乏しいことがあり、注意深い観察が必要。治療後も再発や慢性化に注意し、画像での経過観察が推奨される。