脊髄性進行性筋萎縮症

概要

脊髄性進行性筋萎縮症は、下位運動ニューロンの変性・脱落により四肢・体幹筋の筋力低下と筋萎縮をきたす慢性進行性の神経変性疾患である。主に成人期以降に発症し、進行は緩徐で感覚障害は伴わない。遺伝性のものと孤発性のものが存在する。

要点

  • 下位運動ニューロン障害により筋萎縮・筋力低下を呈する
  • 感覚障害や上位運動ニューロン徴候はみられない
  • 進行は緩徐で、呼吸筋障害や球麻痺は稀

病態・原因

脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)の変性・脱落が主な病態であり、孤発性または遺伝性(常染色体劣性遺伝やX連鎖劣性遺伝など)で発症する。ウイルス感染や自己免疫などの二次的要因は稀で、多くは原因不明の特発性である。

主症状・身体所見

四肢遠位優位の筋力低下と筋萎縮が進行性にみられる。腱反射は減弱または消失し、筋線維束性収縮(ファシキュレーション)が認められる。感覚障害や上位運動ニューロン徴候(痙縮・バビンスキー徴候など)はみられない。

検査・診断

検査所見補足
針筋電図神経原性変化(高振幅・長持続の電位、ファシキュレーション)下位運動ニューロン障害の証明
神経伝導検査運動神経伝導速度の低下または振幅減少感覚神経は正常
MRI脊髄脊髄前角の萎縮除外診断にも有用

筋生検では神経原性萎縮像を認める。診断は臨床像と電気生理学的所見、画像検査により行い、他の筋萎縮性疾患(ALSなど)を除外することが重要である。

治療

  • 対症療法:リハビリテーションによる筋力維持
  • 補助療法:装具使用、栄養管理、呼吸管理
  • 注意点:過度な筋負荷は筋力低下を助長するため避ける

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
筋萎縮性側索硬化症上位運動ニューロン徴候(痙縮・バビンスキー徴候)を伴う針筋電図で上下位運動ニューロン障害
球脊髄性筋萎縮症性染色体連鎖性、内分泌異常・舌萎縮・振戦遺伝子検査でCAGリピート異常

補足事項

進行は緩徐であり、生命予後は比較的良好なことが多い。嚥下障害や呼吸筋障害の合併は稀であるが、経過中の合併症に注意する必要がある。遺伝性の場合は家族歴や遺伝子診断も考慮する。

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