胎便吸引症候群

概要

胎便吸引症候群は、出生前または分娩時に胎児が胎便を吸引することで発症する新生児の呼吸障害である。主に在胎37週以降の成熟児にみられ、重症化すると呼吸不全や肺高血圧症を合併することがある。

要点

  • 胎便の吸引による気道閉塞と炎症が主病態
  • 分娩時の胎児仮死・新生児仮死と関連が深い
  • 重症例では人工呼吸管理や一酸化窒素吸入療法が必要

病態・原因

胎便吸引症候群は、胎児仮死や分娩遅延などにより胎児が子宮内で胎便を排泄し、それを吸引することで発症する。胎便による気道閉塞、化学性肺炎、表面活性物質の不活化、肺血管収縮などが複合的に関与する。

主症状・身体所見

出生直後からの呼吸窮迫、チアノーゼ、陥没呼吸、粗い呼吸音、胎便で汚染された羊水や皮膚の着色などが特徴的である。重症例では肺高血圧やショックを呈することもある。

検査・診断

検査所見補足
胸部X線びまん性の浸潤影、不均一な肺透亮度過膨張や無気肺を伴うことあり
血液ガス分析低酸素血症、呼吸性アシドーシス重症度評価に有用
血中酸素飽和度低下パルスオキシメトリで評価

診断は臨床症状と出生時の胎便吸引歴、画像所見の組み合わせで行う。胸部X線での特徴的な所見や低酸素血症が診断の決め手となる。

治療

  • 第一選択:酸素投与・人工呼吸管理
  • 補助療法:一酸化窒素吸入療法、体外式膜型人工肺(ECMO)、抗菌薬投与(感染予防)
  • 注意点:過剰な吸引や刺激を避け、低体温や低血圧に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
新生児一過性多呼吸呼吸窮迫は軽度、胎便吸引歴なし胸部X線で肺の過膨張が主体
新生児呼吸窮迫症候群未熟児に多く、サーファクタント欠損が主X線で網状・顆粒状陰影
新生児肺炎母体感染や周産期感染の既往あり炎症所見・培養検査で陽性になることあり

補足事項

予防には分娩時の胎児仮死管理や出生直後の適切な気道管理が重要である。重症例では肺高血圧症への対応が治療成績を左右する。

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