肺腺癌
概要
肺腺癌は肺癌の中で最も頻度が高い組織型であり、特に非喫煙者や女性にも多く認められる。末梢肺に発生しやすく、進行が比較的緩徐なことが特徴である。近年、分子標的治療の進歩により治療選択肢が拡大している。
要点
- 肺癌の中で最も多い組織型
- 末梢肺に好発し、無症状で進行することが多い
- 分子標的治療や免疫療法の適応となる場合がある
病態・原因
肺腺癌は肺の末梢部にある腺組織から発生する悪性腫瘍で、喫煙歴のない患者にも発症する。遺伝的要因や環境因子、EGFRやALKなどの遺伝子変異が関与することが多い。
主症状・身体所見
早期は無症状のことが多いが、進行すると咳嗽、血痰、呼吸困難、胸痛などを呈する。腫瘍の大きさや浸潤部位によっては胸水や体重減少、骨転移による疼痛がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部CT | 末梢優位の結節・腫瘤 | スピキュラ・空洞形成もあり |
| 病理組織診 | 腺癌細胞の増殖 | 組織型分類が重要 |
| 腫瘍マーカー | CEA、SLX上昇 | 感度・特異度は限定的 |
胸部画像診断で末梢の腫瘤影を認め、気管支鏡やCTガイド下生検による組織診断が確定に重要。EGFR、ALK、ROS1などの遺伝子変異検索も治療方針決定に必須。
治療
- 第一選択:手術(早期例)、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(進行例)
- 補助療法:化学療法、放射線療法、緩和ケア
- 注意点:遺伝子変異の有無による治療選択、早期発見が予後改善に重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺扁平上皮癌 | 中枢気道発生・喫煙強く関連 | 扁平上皮癌特有の組織像 |
| 肺小細胞癌 | 増殖速く、早期転移多い | 小型細胞・神経内分泌マーカー |
補足事項
肺腺癌は非喫煙者や若年者でも発症しうるため、肺癌スクリーニングの適応が広がっている。分子標的薬の開発が進み、個別化医療が進展している。