肝吸虫症
概要
肝吸虫症は肝吸虫属(Clonorchis sinensisやOpisthorchis viverriniなど)による寄生虫感染症で、主に淡水魚の生食を介して感染する。慢性感染では胆管系の障害や炎症、胆道癌のリスク増加が特徴となる。アジア地域での発症が多い。
要点
- 淡水魚の生食が主な感染経路
- 慢性化で胆管炎や胆石症、胆道癌を引き起こす
- 抗寄生虫薬による治療が有効
病態・原因
肝吸虫の幼虫が淡水魚に寄生し、ヒトが生食することで感染する。虫体は胆管に寄生し、慢性的な炎症や機械的刺激によって胆管障害を生じる。長期感染により胆管上皮の過形成や線維化、胆道癌の発症リスクが高まる。
主症状・身体所見
多くは無症状だが、腹痛、食欲不振、悪心、黄疸などがみられることがある。慢性例では胆管炎や胆石症、肝腫大、黄疸などの胆道系障害が目立つ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 便検査 | 卵の検出 | 感度高いが、軽症例では検出困難なことも |
| 腹部超音波・CT | 胆管拡張、虫体像、胆石 | 胆管壁の肥厚や線維化も認める場合あり |
胆汁や十二指腸液の虫卵検出も診断に有用。血清抗体検査(ELISA)も補助診断として利用される。画像検査で胆管拡張や虫体像を認めることがある。
治療
- 第一選択:プラジカンテル投与
- 補助療法:胆管炎・胆石症合併時は抗菌薬や対症療法
- 注意点:再感染予防のため生魚摂取の回避指導
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肝膿瘍 | 発熱・膿瘍形成が主、画像で膿瘍像 | 画像で膿瘍、便卵検出なし |
| ウイルス性肝炎 | 全身症状や肝酵素上昇が強い | 血清ウイルスマーカー陽性 |
補足事項
WHOでは肝吸虫症を重要な食品媒介寄生虫症と位置づけている。長期感染例では胆道癌(特に胆管癌)のリスクが高まるため、早期発見・治療が重要である。