縦隔気腫
概要
縦隔気腫は、縦隔内に空気が異常に貯留する病態であり、外傷や自然発生、医原性要因など多様な原因で発生する。臨床的には胸痛や呼吸困難を呈することが多く、重篤な基礎疾患の存在を示唆する場合もある。早期診断と原因検索が重要となる。
要点
- 縦隔内に空気が漏出し貯留する状態
- 外傷、気道・消化管損傷、自然発生など原因は多岐
- 画像診断が有用で、重症例では緊急治療が必要
病態・原因
縦隔気腫は、気道や肺胞、消化管(特に食道)などから空気が縦隔内に漏出することで発症する。原因としては胸部外傷、特発性(自然発生)、医原性(内視鏡・手術)、気管支喘息や嘔吐などによる内圧上昇が挙げられる。
主症状・身体所見
主な症状は胸痛、呼吸困難、頸部や胸部の皮下気腫、嚥下困難、嗄声などがみられる。皮下気腫の触知や、ハムマン徴候(心音に一致した捻髪音)が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 縦隔内の線状あるいは網状の透亮像 | 皮下気腫や肺気腫も評価 |
| 胸部CT | 縦隔内の空気貯留を高感度で検出 | 原因検索や合併症評価に有用 |
胸部X線で縦隔の透亮像や皮下気腫が認められるが、微小な縦隔気腫ではCTが最も感度が高い。原因検索として食道造影や気管支鏡が追加される場合もある。
治療
- 第一選択:安静・酸素投与(自然吸収を促進)
- 補助療法:原因疾患の治療、抗生剤投与(感染予防)、疼痛管理
- 注意点:緊張性縦隔気腫や呼吸循環動態の悪化時は外科的ドレナージを検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 気胸 | 肺野の透亮像と肺の虚脱 | 気腫域が胸膜腔内 |
| 縦隔炎 | 発熱・炎症反応・縦隔肥厚 | CTで縦隔内に膿やガス |
| 食道破裂 | 激しい胸痛・嘔吐後発症 | 造影で食道外漏出確認 |
補足事項
縦隔気腫は若年者の自然発生例も多いが、高齢者や基礎疾患のある場合は重篤な原因疾患(食道破裂など)を念頭に置く必要がある。安静のみで軽快する例が多いが、再発や重篤化の際は緊急対応が求められる。