総腸間膜症
概要
総腸間膜症は、先天的に小腸と大腸のほぼ全域が一枚の腸間膜で支持されるまれな解剖学的異常である。腸管回転異常症の一亜型で、腸管の可動性亢進や捻転リスクが高いことが特徴。新生児や乳児期に腸閉塞症状で発見されることが多い。
要点
- 先天的な腸間膜の異常で腸管回転異常症の一型
- 腸管捻転やイレウスのリスクが高い
- 早期診断と外科的治療が予後改善に重要
病態・原因
胎生期の腸管回転過程の異常により、本来分離しているべき小腸・大腸の腸間膜が一枚の総腸間膜として残存する。これにより腸管の固定性が失われ、腸捻転や血流障害をきたしやすくなる。
主症状・身体所見
新生児や乳児では嘔吐、腹部膨満、排便異常(便秘や血便)などの腸閉塞症状が主となる。腹部触診で腸管の異常可動や腹膜刺激症状がみられる場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部X線 | 腸閉塞像、ガス分布異常 | イレウスの評価に有用 |
| 上部消化管造影 | 腸管の異常な可動性・位置異常 | 回転異常や捻転の診断 |
| 腹部超音波 | 腸管拡張、血流障害所見 | ドプラーで血流評価可能 |
腸管回転異常症の診断は画像検査による腸管の走行・位置異常の確認が重要であり、特に上部消化管造影での異常所見が決め手となる。超音波では血流障害や腸管拡張も評価できる。
治療
- 第一選択:Ladd手術などによる外科的整復
- 補助療法:輸液・電解質補正、減圧処置
- 注意点:術後の腸閉塞や再捻転の早期発見
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腸回転異常症 | 腸間膜以外の回転異常 | 造影で腸管位置異常 |
| 絞扼性イレウス | 血流障害・腹膜刺激症状が強い | CTで血流障害や腸管壊死像 |
| 単純性イレウス | 絞扼症状・血流障害を伴わない | 血流障害所見なし |
補足事項
総腸間膜症は腸管回転異常症の中でもまれな病型であり、診断・治療ともに外科的知識が重要となる。術後の腸管固定や再発予防も重要な管理ポイントである。