網膜色素変性症
概要
網膜色素変性症は、遺伝的要因により網膜の視細胞が進行性に変性・消失する疾患である。夜盲や視野狭窄を主症状とし、最終的には視力低下や失明に至ることもある。発症年齢や進行速度は個人差が大きい。
要点
- 遺伝的背景による進行性の網膜疾患
- 夜盲と求心性視野狭窄が特徴
- 治療は対症療法が中心で根本的治療法は未確立
病態・原因
網膜色素変性症は主に常染色体劣性・優性またはX連鎖遺伝形式をとり、ロドプシンやペルフェキシンなどの遺伝子異常が原因となる。視細胞(桿体・錐体)が徐々に変性・消失し、網膜色素上皮の異常を伴う。
主症状・身体所見
初期には夜盲(暗順応障害)が現れ、その後求心性に視野狭窄が進行する。進行例では視力低下や色覚異常、眼底検査で骨小体様色素沈着や網膜血管の狭細化、視神経乳頭の萎縮が認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 眼底検査 | 骨小体様色素沈着、血管狭細、乳頭萎縮 | 典型的な三徴 |
| 網膜電図(ERG) | a波・b波の振幅低下または消失 | 桿体・錐体機能の評価 |
| 視野検査 | 求心性視野狭窄 | 進行度の判定 |
診断は臨床症状と眼底所見、網膜電図(ERG)による視細胞機能低下の確認が基本である。家族歴や遺伝子検査も補助診断として有用。
治療
- 第一選択:根本治療はなく、ビタミンA投与やロービジョンケアが中心
- 補助療法:視覚補助具、リハビリテーション、遺伝カウンセリング
- 注意点:進行抑制の確立した方法はなく、定期的な経過観察が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 糖尿病網膜症 | 糖尿病の既往、出血や新生血管形成 | 蛍光眼底造影で特徴的所見 |
| 加齢黄斑変性 | 中心暗点、加齢、黄斑部の異常 | OCTで黄斑部の異常 |
| 網膜中心動脈閉塞症 | 急激な視力低下、桜紅斑 | 眼底に特徴的な所見 |
補足事項
近年、遺伝子治療や網膜再生医療の臨床研究が進展しているが、標準治療としては確立されていない。患者の生活の質向上のための支援体制が重要である。