細菌性赤痢
概要
細菌性赤痢はShigella属菌による急性腸管感染症で、主に糞口感染で伝播する。発展途上国や衛生環境の悪い地域で多く発生し、激しい下痢や血便を特徴とする。重症例では脱水や全身症状をきたし、迅速な対応が求められる。
要点
- Shigella属菌が原因の急性腸炎
- 血便・発熱・腹痛が三徴
- 感染力が強く集団発生に注意
病態・原因
原因菌は主にShigella dysenteriae、S. flexneri、S. boydii、S. sonneiで、極めて少量の菌数でも発症する。糞便に汚染された水や食品、あるいは患者との接触で経口感染する。腸管粘膜に侵入し、炎症や潰瘍形成を引き起こす。
主症状・身体所見
突然の発熱、下痢、腹痛が主症状で、しぶり腹や粘血便が特徴的。重症例では脱水、意識障害、痙攣など全身症状もみられる。小児や高齢者では重症化しやすい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 便培養 | Shigella属菌の検出 | 確定診断 |
| 便鏡検 | 白血球・赤血球の増加 | 炎症性下痢の示唆 |
| 血液検査 | 白血球増多、CRP上昇 | 重症例で参考 |
便培養によるShigella菌の検出が確定診断となる。便鏡検で白血球や赤血球の増加が見られる。診断基準は臨床症状と便培養結果の組み合わせによる。重症例では電解質異常や腎機能障害の評価も重要。
治療
- 第一選択:ニューキノロン系やホスホマイシンなどの抗菌薬投与
- 補助療法:脱水補正のための輸液、電解質管理
- 注意点:耐性菌の増加、感染拡大防止のための隔離
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アメーバ赤痢 | 長期経過・肝膿瘍合併 | 便中に嚢子・赤痢アメーバ |
| 偽膜性腸炎 | 抗菌薬既往・水様下痢 | 便中にC. difficile毒素 |
| 腸チフス・パラチフス | 徐々に発症・バラ疹 | 血液培養でSalmonella属 |
補足事項
近年は耐性Shigellaの増加が世界的に問題となっている。集団発生時は保健所への届出が必要であり、感染予防策の徹底が求められる。ワクチンは実用化されていない。