神経線維腫症1型(von Recklinghausen病)
概要
神経線維腫症1型(NF1)は常染色体優性遺伝で発症する多臓器性疾患で、皮膚・神経系を中心に多彩な症状を呈する。カフェオレ斑や皮膚神経線維腫、Lisch結節などが特徴的で、腫瘍合併や合併症も多い。NF1遺伝子変異による神経線維の異常増殖が主病態である。
要点
- 常染色体優性遺伝による全身性疾患
- 皮膚・神経・骨など多臓器に症状を呈する
- 腫瘍合併や悪性化リスクが存在
病態・原因
NF1遺伝子(17q11.2)の変異により、腫瘍抑制タンパク質neurofibrominの機能が障害されることで発症する。常染色体優性遺伝形式をとるが、約半数は新規変異による。神経・皮膚・骨・血管など多彩な組織で異常細胞増殖が生じる。
主症状・身体所見
カフェオレ斑や皮膚神経線維腫が幼少期から出現し、思春期以降に増加する。Lisch結節(虹彩結節)、腋窩・鼠径部の色素斑、骨異常(脛骨偽関節、脊柱側弯)、学習障害やてんかんなど神経症状もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚所見の確認 | カフェオレ斑、皮膚神経線維腫、色素斑 | 診断基準の中核 |
| 眼科検査 | Lisch結節(虹彩結節)の存在 | スリットランプで確認 |
| 画像検査 | 脳・脊髄・骨の腫瘍や骨異常 | MRIやX線で評価 |
| 遺伝子検査 | NF1遺伝子変異の検出 | 確定診断や家族歴不明時に有用 |
診断はNIH診断基準(カフェオレ斑6個以上、神経線維腫2個以上、Lisch結節、骨病変、家族歴など2項目以上)に基づく。画像検査で中枢神経腫瘍や骨異常を評価する。
治療
- 第一選択:対症療法(腫瘍切除・整形外科的治療など)
- 補助療法:学習障害への教育的支援、理学療法、精神的サポート
- 注意点:悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)などの腫瘍性合併症に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 結節性硬化症 | 顔面血管線維腫、葉状白斑、腎腫瘍 | TSC1/2遺伝子変異、CTで腎腫瘍 |
| Sturge-Weber症候群 | 顔面血管腫、てんかん、脳石灰化 | 頭部CTで脳の石灰化 |
| von Hippel-Lindau病 | 網膜・中枢神経血管芽腫、腎細胞癌 | VHL遺伝子変異、腎・脳MRI |
補足事項
定期的な全身フォローアップが重要であり、腫瘍の早期発見や学習障害への支援が推奨される。遺伝カウンセリングも重要である。