疥癬
概要
疥癬はヒトヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)による皮膚寄生虫感染症であり、主に皮膚の強い掻痒と特徴的な皮疹を呈する。接触感染により集団発生することがあり、特に高齢者施設や病院などで問題となる。
要点
- ヒトヒゼンダニの感染による皮膚疾患
- 激しい掻痒と特徴的な疥癬トンネルが出現
- 接触感染・集団発生に注意が必要
病態・原因
ヒトヒゼンダニが皮膚角層内に寄生し、トンネルを掘って産卵・増殖することで発症する。感染経路は主に皮膚と皮膚の直接接触であり、免疫低下や集団生活環境がリスク因子となる。
主症状・身体所見
激しい夜間の掻痒が特徴で、手指間、手首、腋窩、腹部、外陰部などに小丘疹や線状の疥癬トンネルが出現する。二次感染や結節性病変を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚掻爬検査 | ヒゼンダニや虫卵の検出 | 顕微鏡下で直接確認 |
| ダーモスコピー | 疥癬トンネル・ヒゼンダニの観察 | 非侵襲的迅速診断に有用 |
皮膚掻爬検体の顕微鏡観察でヒゼンダニや虫卵を確認できれば確定診断となる。典型的な皮疹や疥癬トンネルの視認も診断に役立つ。
治療
- 第一選択:イベルメクチン内服またはペルメトリンクリーム外用
- 補助療法:抗ヒスタミン薬による掻痒緩和、皮膚の保湿
- 注意点:家族・施設内同時治療とリネン類の適切な洗濯・管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アトピー性皮膚炎 | 乳児期発症やアトピー素因、分布の違い | ダニ・虫卵は検出されない |
| 伝染性膿痂疹 | 膿疱・痂皮主体、急性経過 | 細菌培養で陽性、ダニなし |
補足事項
ノルウェー疥癬(角化型疥癬)は免疫低下患者で重症化しやすく、通常型より感染力が非常に強い。流行時は早期発見と集団対応が重要となる。