特発性後腹膜線維化症
概要
特発性後腹膜線維化症は、後腹膜領域に線維性組織が異常増殖し、尿管や血管を圧迫する慢性炎症性疾患である。多くは原因不明だが、自己免疫的機序や薬剤、悪性腫瘍との関連も指摘される。進行すると腎機能障害や腹部症状を呈する。
要点
- 後腹膜に線維化が生じて尿管閉塞をきたす
- 原因は特発性が多いが、二次性も存在
- 腹部症状や腎機能障害が主な合併症
病態・原因
本疾患は後腹膜に線維性組織が増殖し、尿管や大血管を巻き込むことで尿路閉塞や血流障害を引き起こす。発症機序は不明なことが多いが、自己免疫反応、薬剤(特にエルゴタミンなど)、悪性腫瘍、感染症などが誘因となる場合もある。
主症状・身体所見
腹痛、腰背部痛、体重減少、発熱などの非特異的な全身症状がみられる。進行すると尿管狭窄による水腎症や腎不全、下肢浮腫、下肢静脈うっ滞などが出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 造影CT/MRI | 後腹膜に線維化領域、尿管の圧排・狭窄、腎盂拡張 | 画像診断で最重要 |
| 血液検査 | 炎症反応(CRP上昇)、腎機能障害、自己抗体陽性例も | 鑑別や重症度評価に有用 |
| 尿検査 | 腎機能障害の程度評価、蛋白尿や血尿を認めることも |
画像診断(特に造影CTやMRI)で後腹膜の線維化や尿管の巻き込み、腎盂拡張を確認することが診断の中心となる。組織診断が必要な場合もあるが、臨床像と画像で診断されることが多い。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイドによる免疫抑制療法
- 補助療法:尿管ステント留置や腎瘻造設による尿路確保、免疫抑制薬追加
- 注意点:再発リスクやステロイド副作用、腎機能障害の管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性腹膜炎 | 腹膜全体の炎症・癒着 | 腹膜全体の肥厚、炎症マーカー高値 |
| 腹膜偽粘液腫 | 粘液性腹水・腫瘤形成 | CTで粘液貯留・腫瘤 |
補足事項
IgG4関連疾患との関連が近年注目されており、鑑別や治療選択に影響する場合がある。早期発見・治療が腎機能予後の改善に重要である。