熱疲労

概要

熱疲労は高温環境での体温上昇と脱水、電解質異常によって生じる全身症状を特徴とする。適切な水分・塩分補給や冷却処置がなされない場合、重篤な熱中症(熱射病)へ進展することがある。屋外作業やスポーツ時に多く発症しやすい。

要点

  • 高温環境下での脱水と塩分喪失が主因
  • 意識障害はないが全身倦怠やめまいが出現
  • 迅速な冷却と補液が治療の中心

病態・原因

高温多湿下での発汗による水分・ナトリウム喪失が主な原因である。体温調節機構が限界を迎え、循環血液量減少や電解質異常が生じる。長時間の屋外活動や不適切な水分補給、暑熱順化の不足がリスク因子となる。

主症状・身体所見

めまい、頭痛、全身倦怠感、悪心、筋肉痛・こむら返りなどがみられる。発汗は保たれており、意識は清明であることが多い。重症化すると徐脈や低血圧、循環不全徴候が出現する。

検査・診断

検査所見補足
血液検査脱水、電解質異常Na低下、K変動、BUN/Cr上昇
体温測定軽度~中等度の体温上昇40℃未満であることが多い
血圧・脈拍低血圧、頻脈循環血液量減少の評価

臨床診断が主体であり、重度の意識障害や中枢神経症状があれば熱射病を考慮する。体温が40℃未満で、意識清明、発汗持続が診断の目安となる。

治療

  • 第一選択:涼しい環境への移動と経口・静脈補液
  • 補助療法:身体冷却、電解質補正、安静保持
  • 注意点:意識障害や循環不全例では熱射病への進展に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
熱射病意識障害・中枢神経症状あり体温40℃以上、発汗消失
脱水症発熱や筋痙攣は乏しい体温上昇は軽度

補足事項

熱疲労は早期認識と適切な補液により予後良好であるが、放置すれば熱射病へ進行しうる。高齢者や基礎疾患のある患者では重症化しやすいため注意が必要。

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