熱射病

概要

熱射病は高温環境下で発症する重篤な高体温症であり、中枢神経障害や多臓器不全をきたす。体温調節機構の破綻が主因で、迅速な治療が生命予後を左右する救急疾患である。

要点

  • 高温多湿環境下で発症しやすい
  • 意識障害や多臓器障害を伴う
  • 迅速な冷却と全身管理が必須

病態・原因

高温環境下での長時間活動や脱水により、体温調節機能が破綻し、深部体温が40℃以上に上昇することで発症する。発汗機能の低下や血管拡張による循環不全も関与する。

主症状・身体所見

意識障害、譫妄、けいれんなどの中枢神経症状が特徴的であり、発汗停止、皮膚の乾燥、高体温、頻脈、血圧低下などがみられる。多臓器障害(腎不全、肝障害、DIC等)を伴うことが多い。

検査・診断

検査所見補足
血液検査肝腎障害、電解質異常、DIC所見多臓器障害の評価
体温測定深部体温40℃以上直腸温での測定が推奨される
頭部CT/MRI脳浮腫等の除外他疾患との鑑別目的

発症状況(高温環境下での活動歴)、深部体温上昇、意識障害の三徴で診断する。その他、腎・肝機能、凝固系、CK上昇などの多臓器障害評価も重要。

治療

  • 第一選択:迅速な体外冷却(氷水浴、冷却ブランケット等)と輸液
  • 補助療法:酸素投与、循環管理、電解質補正、臓器障害への対症療法
  • 注意点:体温低下の過補正に注意しつつ、合併症(DIC、腎不全)の早期対応

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
熱疲労意識障害なし、発汗あり深部体温は40℃未満
悪性高熱症全身麻酔後に発症、家族歴筋硬直・CK著増、麻酔歴

補足事項

高齢者や基礎疾患を有する者は特に重症化しやすい。予防には適切な水分・塩分補給、環境管理が重要。発症後の迅速な対応が生命予後を大きく左右する。

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