無ガンマグロブリン血症
概要
無ガンマグロブリン血症は、血中のガンマグロブリン(主に免疫グロブリン)が著しく低下または消失する先天性または後天性の免疫不全症である。主にX連鎖性(Bruton型)が知られ、乳幼児期から重篤な感染症を繰り返すことが特徴。
要点
- 免疫グロブリンの著明な低下または欠如が本症の本質
- 乳幼児期から繰り返す細菌感染症が主症状
- 免疫グロブリン製剤補充が治療の中心
病態・原因
主にBリンパ球の分化障害により免疫グロブリン産生が著しく障害される。最も多いのはX連鎖性(Bruton型)で、BTK遺伝子変異による。まれに常染色体劣性型や後天性も存在する。
主症状・身体所見
乳児期から肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症などの細菌感染症を反復する。腸管感染症や慢性下痢、発育障害もみられる。リンパ組織(扁桃・リンパ節)の発育不良が特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清免疫グロブリン | IgG、IgA、IgMのいずれも著明に低値または測定不能 | 免疫グロブリン定量 |
| 末梢血リンパ球 | B細胞(CD19/20陽性細胞)がほぼ消失 | フローサイトメトリー |
| 遺伝子検査 | BTK遺伝子変異の検出 | X連鎖性の場合 |
免疫グロブリンの著明な低値とB細胞の欠如が診断の決め手となる。家族歴やX連鎖遺伝の有無も重要。画像検査ではリンパ組織の発育不良が参考となる。
治療
- 第一選択:免疫グロブリン製剤の定期的静注
- 補助療法:感染症発症時の抗菌薬投与、ワクチン接種制限
- 注意点:生ワクチンは禁忌、感染予防に生活指導も重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| IgA欠損症 | IgAのみ低値、他の免疫グロブリン正常 | IgAのみ低値、IgG/IgMは正常 |
| 重症複合型免疫不全症 | T細胞・B細胞ともに障害 | T細胞も著明に低下 |
補足事項
本症は早期診断と治療開始が生命予後を大きく左右する。免疫グロブリン補充療法の継続が重要であり、感染症対策や家族への遺伝カウンセリングも必要となる。