本態性血小板血症
概要
本態性血小板血症は、骨髄系腫瘍(骨髄増殖性腫瘍)の一つで、血小板数の著明な増加を特徴とする。主に中高年に発症し、血栓症や出血傾向を合併しうる。JAK2遺伝子変異などが高頻度に認められる。
要点
- 血小板の著明な増加と血栓・出血リスク
- 骨髄増殖性腫瘍に分類される
- JAK2変異など遺伝子異常が関与
病態・原因
造血幹細胞のクローン性増殖が原因で、血小板産生が制御不能となる。JAK2 V617F変異やCALR、MPL遺伝子変異が高頻度に認められる。リスク因子として高齢や遺伝的素因が挙げられる。
主症状・身体所見
無症状のことも多いが、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、深部静脈血栓症など)や出血傾向(紫斑、鼻出血、消化管出血)を認める。脾腫がみられることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 血小板増加(45万/μL超) | 白血球・赤血球は比較的保たれる |
| 骨髄検査 | 巨核球の増生 | 線維化は軽度 |
| 遺伝子検査 | JAK2, CALR, MPL変異陽性 | JAK2変異が最も多い |
WHO診断基準では、持続的な血小板増加、骨髄での巨核球増生、他の骨髄増殖性腫瘍の除外、JAK2/CALR/MPL変異のいずれか陽性が求められる。骨髄線維症や白血病への進展リスクも考慮する。
治療
- 第一選択:低リスク例では経過観察、高リスク例ではヒドロキシウレアやアナグレリド
- 補助療法:アスピリンによる血栓予防、生活習慣改善
- 注意点:出血傾向や骨髄線維症・白血病への進展に留意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 真性赤血球増加症 | 赤血球増加が主体、EPO低値 | 赤血球増加、JAK2変異 |
| 原発性骨髄線維症 | 著明な脾腫、骨髄線維化進行 | 骨髄線維化、涙滴赤血球 |
| 特発性血小板減少性紫斑病 | 血小板減少、出血傾向が主 | 血小板減少、巨核球減少 |
補足事項
本疾患は慢性経過をとるが、まれに骨髄線維症や急性白血病へ移行する。JAK阻害薬など新規治療薬の開発も進行中。