有毛細胞白血病
概要
有毛細胞白血病は、成熟B細胞を起源とする希少な慢性リンパ系白血病の一型である。特徴的な細胞形態と脾腫、汎血球減少を呈し、診断には末梢血や骨髄での有毛細胞の検出が重要となる。治療により長期生存が期待できる。
要点
- 稀なB細胞性慢性白血病で、特徴的な形態を持つ
- 脾腫と汎血球減少が主症候である
- プリンアナログなどによる治療で予後は比較的良好
病態・原因
有毛細胞白血病は、B細胞系の腫瘍性増殖による疾患で、腫瘍細胞は細胞表面に細かい突起(有毛状突起)を持つ。原因は不明だが、BRAF V600E変異が高頻度に認められる。発症は中高年男性に多い。
主症状・身体所見
脾腫が高頻度にみられ、しばしば腹部膨満感や左季肋部痛を訴える。汎血球減少による貧血、易感染性、出血傾向が出現する。リンパ節腫脹は比較的まれである。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血・骨髄塗抹 | 有毛細胞の出現 | 細胞質に細かい毛状突起を認める |
| 骨髄穿刺 | 乾酪様骨髄、線維化傾向 | 穿刺困難な場合も多い |
| 免疫表現型 | CD19, CD20, CD22, CD11c陽性 | B細胞系腫瘍でCD103, CD25も陽性 |
診断には末梢血や骨髄での有毛細胞の検出、免疫表現型解析、BRAF遺伝子変異の確認が有用。骨髄線維化のため骨髄穿刺が困難なことがある。脾腫の評価には腹部超音波やCTが参考となる。
治療
- 第一選択:クラドリビンやデクラリビンなどプリンアナログ製剤
- 補助療法:G-CSF投与、輸血、感染症対策
- 注意点:再発例や抵抗例ではBRAF阻害薬が有効
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性リンパ性白血病 | リンパ節腫脹が多く有毛細胞なし | 免疫表現型が異なる |
| 骨髄異形成症候群 | 有毛細胞はみられず、異形成が主体 | 骨髄形態異常、染色体異常 |
| 悪性リンパ腫 | 腫瘤形成やリンパ節腫脹が主体 | 組織学的・免疫学的検査で区別 |
補足事項
BRAF阻害薬(ベムラフェニブなど)の登場により、治療抵抗例にも新たな治療選択肢が加わった。感染症リスクが高いため、予防的抗菌薬投与やワクチン接種も考慮される。