揺さぶられっこ症候群

概要

揺さぶられっこ症候群は乳幼児に発生する非偶発的頭部外傷で、激しく揺さぶられることにより脳や眼、骨に損傷を生じる。主に児童虐待の一形態として問題となり、重篤な神経学的後遺症や死亡に至ることもある。

要点

  • 乳幼児への激しい揺さぶりによる頭部外傷
  • 硬膜下血腫・網膜出血・骨折が診断の三徴
  • 児童虐待の早期発見と介入が重要

病態・原因

乳幼児の脳は頭蓋内で可動性が高く、首の筋力も未発達なため、強く揺さぶられることで脳が頭蓋骨内で前後に動き、架橋静脈や脳組織が損傷される。主な原因は保護者などによる虐待行為であり、事故による発症は極めて稀である。

主症状・身体所見

意識障害、けいれん、哺乳不良、嘔吐、無呼吸発作など多彩な神経症状がみられる。眼底検査で網膜出血、頭部CT/MRIで硬膜下血腫、骨折(特に肋骨や長管骨)などが特徴的である。

検査・診断

検査所見補足
頭部CT/MRI硬膜下血腫、脳浮腫慢性・急性の血腫が混在することも
眼底検査網膜出血多層性・両側性が特徴
骨X線肋骨・長管骨骨折骨折の時期が異なることも

脳画像での硬膜下血腫、眼底での網膜出血、骨折の三徴が診断の根拠となる。虐待の既往や不自然な病歴、症状と説明の不一致も重要な診断手がかりである。

治療

  • 第一選択:脳浮腫・頭蓋内圧亢進への対症療法、必要に応じて外科的治療
  • 補助療法:けいれん管理、全身管理、リハビリテーション
  • 注意点:虐待防止のための社会的介入と家族支援

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性硬膜下血腫外傷歴が明確、網膜出血や多発骨折は稀眼底・骨X線で明確な所見なし
乳幼児突然死症候群無症状で突然死、外傷所見や出血がない画像・眼底・骨所見が陰性

補足事項

日本でも児童虐待症例の増加に伴い、揺さぶられっこ症候群の早期発見と通報体制の整備が進められている。予後は重篤な神経障害や死亡例も多く、予防と社会的対応が極めて重要である。

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