抜毛症

概要

抜毛症は、繰り返し自分の毛髪や体毛を抜くことを特徴とする精神疾患で、衝動制御障害の一種に分類される。多くは小児期から青年期に発症し、頭髪や眉毛、まつ毛などが主な抜毛部位となる。ストレスや不安、強迫的傾向との関連が指摘されている。

要点

  • 自分で毛髪や体毛を抜く行為が繰り返される
  • 多くは小児〜青年期に発症し、慢性的に経過する
  • 精神疾患(強迫性障害や不安障害)との併存が多い

病態・原因

抜毛症は衝動制御障害の一種であり、抜毛行為は一時的な緊張や不安の緩和、または快感を目的として行われることが多い。発症には遺伝的素因、ストレス、情動調整の困難さ、強迫的傾向などが関与する。家族内発症例も報告されている。

主症状・身体所見

反復的な毛髪・体毛の抜去が主症状であり、脱毛斑や不規則な毛の長さが認められる。頭髪のほか、眉毛、まつ毛、陰毛、四肢の体毛などが対象となることもある。抜毛部位の皮膚損傷や二次感染を伴う場合もある。

検査・診断

検査所見補足
精神科的問診抜毛行為の反復、コントロール困難DSM-5など診断基準に基づく
皮膚科診察不整形の脱毛斑、毛髪の長さが不揃い他疾患(円形脱毛症等)との鑑別に重要
頭皮ダーモスコピー折れ毛・新生毛の混在抜毛による特徴的所見

診断は主に臨床症状と問診による。DSM-5では反復的な抜毛行動と、それによる脱毛、行動の抑制困難、他の精神疾患や身体疾患によらないことが診断基準となる。鑑別には円形脱毛症や皮膚疾患の除外が必要。

治療

  • 第一選択:認知行動療法(CBT)による行動修正
  • 補助療法:抗うつ薬(SSRI等)、家族療法、支持的精神療法
  • 注意点:皮膚損傷や感染の管理、併存精神疾患への対応

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
円形脱毛症自然発症・円形の脱毛斑・抜毛行為なし毛根の変化、自己抜毛の証拠なし
強迫性障害抜毛以外の強迫行為・儀式的行動抜毛症は抜毛行為が中心
神経性食思不振症体重減少・食行動異常が主抜毛症は抜毛行為が主症状

補足事項

抜毛症は慢性経過をとることが多く、再発も多い。近年では若年女性に多いが、性別を問わず発症する。治療抵抗例や重症例では多職種チームによる包括的支援が重要である。

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