感覚性失調性ニューロパチー
概要
感覚性失調性ニューロパチーは、感覚神経線維の障害により深部感覚障害や運動失調を主徴とする末梢神経障害である。主に後索系の障害を反映し、歩行障害や四肢の位置覚・振動覚低下が特徴となる。原因は自己免疫、遺伝、代謝異常、薬剤性など多岐にわたる。
要点
- 深部感覚障害による運動失調が主症状
- 原因は自己免疫性や代謝異常、薬剤性など多様
- 末梢神経伝導検査や神経生検で診断を補強
病態・原因
感覚性失調性ニューロパチーは、主に感覚神経(特に大径線維)の障害により深部感覚の伝導が障害されることで発症する。原因としては自己免疫性(例:Sjögren症候群)、糖尿病、ビタミン欠乏、薬剤性、遺伝性(例:Charcot-Marie-Tooth病)などが挙げられる。
主症状・身体所見
四肢のしびれや感覚鈍麻、位置覚・振動覚の低下、Romberg徴候陽性、歩行時の運動失調が特徴的である。腱反射の減弱や消失を認めることも多い。疼痛や自律神経症状は比較的少ない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢神経伝導検査 | 感覚神経伝導速度の低下、振幅減少 | 運動神経は比較的保たれる |
| 神経生検 | 軸索変性・脱髄所見 | 病因検索や鑑別に有用 |
| 血液検査 | 代謝異常・自己抗体の検出 | ビタミン欠乏や糖尿病検索も重要 |
臨床症状と神経伝導検査の結果から診断される。MRIで脊髄病変の除外も行う。原因精査のため血液検査・自己抗体検査も実施する。
治療
- 第一選択:原因疾患の治療(例:免疫抑制、ビタミン補充、血糖管理など)
- 補助療法:リハビリテーション、歩行補助具の利用
- 注意点:転倒予防、薬剤性の場合は原因薬剤の中止
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 糖尿病性ニューロパチー | 糖尿病の既往、他の自律神経症状 | 血糖異常、分布の違い |
| ビタミンB欠乏性ニューロパチー | 栄養障害、飲酒歴 | ビタミンB群低値 |
| Charcot-Marie-Tooth病 | 家族歴、若年発症 | 遺伝子検査、腓腹筋萎縮 |
補足事項
感覚性失調性ニューロパチーは転倒リスクが高く、生活指導が重要となる。慢性経過をとる例が多いが、急性発症例では免疫治療の適応となることもある。鑑別には脊髄後索障害や中枢神経疾患も念頭に置く。