悪性高血圧症

概要

悪性高血圧症は、急激な血圧上昇により臓器障害(特に眼底・腎・脳)を伴う重篤な高血圧の一型である。適切な治療を行わない場合、生命予後が著しく悪化する緊急疾患である。速やかな降圧と臓器保護が求められる。

要点

  • 急速な血圧上昇と臓器障害を特徴とする
  • 眼底出血・乳頭浮腫や腎機能障害が重要所見
  • 迅速な降圧と原因検索・治療が必要

病態・原因

主に本態性高血圧や腎実質疾患、血管炎、褐色細胞腫などが背景となり、急激な血圧上昇によって細小動脈の壊死性変化や内皮障害が生じる。これにより全身の臓器障害が連鎖的に進行する。

主症状・身体所見

頭痛、視力障害、意識障害、悪心・嘔吐などの脳症状や、呼吸困難・胸痛など心肺症状、乏尿・蛋白尿など腎症状がみられる。眼底検査では出血、軟性白斑、乳頭浮腫が特徴的。

検査・診断

検査所見補足
眼底検査乳頭浮腫、眼底出血、軟性白斑進行例では必発
血液生化学クレアチニン上昇、尿蛋白、溶血性貧血腎障害・血管障害の評価
尿検査蛋白尿、血尿腎実質障害の指標
頭部画像検査脳浮腫、脳出血、脳梗塞高血圧性脳症・脳血管障害の評価

診断は重篤な高血圧(例:収縮期180mmHg以上または拡張期120mmHg以上)と、臓器障害(特に眼底・腎・脳)所見の両者で確定する。眼底所見は診断上きわめて重要。画像検査にて脳症や出血の有無も評価する。

治療

  • 第一選択:ニトロプルシドやニカルジピンなどの静注降圧薬による緊急降圧
  • 補助療法:原因疾患の治療、利尿薬、酸素投与、対症療法
  • 注意点:急激な降圧は脳・腎・心の虚血を招くため、段階的な降圧が原則

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
高血圧性脳症眼底所見が軽度、脳症状が主乳頭浮腫や眼底出血の有無
急性腎不全血圧上昇が軽度または二次性眼底所見が乏しい、腎機能障害が主体

補足事項

悪性高血圧症は高血圧緊急症の代表であり、迅速な診断・治療が生命予後を左右する。治療後も慢性腎臓病や心血管合併症のリスクが高いため、長期管理が重要となる。

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