悪性腫瘍による二次性貧血

概要

悪性腫瘍による二次性貧血は、がんの存在や進行に伴い生じる貧血であり、慢性炎症や腫瘍による骨髄抑制、出血、栄養障害など複数の機序が関与する。主に正球性正色素性貧血を呈し、がん患者のQOLや予後にも影響を与える。原因の特定と適切な治療介入が重要となる。

要点

  • 悪性腫瘍の進行や治療に伴い発症する二次性貧血
  • 骨髄抑制、慢性炎症、出血、栄養障害など多因子性
  • 治療は原因腫瘍の制御と支持療法の併用が基本

病態・原因

悪性腫瘍による二次性貧血は、腫瘍自体やその治療(化学療法・放射線療法)による骨髄抑制、慢性炎症によるエリスロポエチン低下や鉄利用障害、腫瘍からの慢性出血、食欲低下による栄養障害などが複合的に関与する。腫瘍関連サイトカインの影響も重要な要素となる。

主症状・身体所見

全身倦怠感、易疲労感、労作時息切れ、動悸などの貧血症状が主である。進行例では皮膚や粘膜の蒼白、頻脈、立ちくらみも認めることがある。腫瘍による症状(出血、疼痛、体重減少)を伴うことも多い。

検査・診断

検査所見補足
血算・網赤血球数正球性正色素性貧血、網赤血球低下進行例では鉄欠乏も合併しうる
鉄・フェリチンフェリチン高値~正常、鉄低値鉄利用障害型が多い
骨髄検査造血抑制、腫瘍浸潤の有無骨髄異常の評価に有用

診断は血液検査での貧血所見に加え、腫瘍の存在や出血源の検索、骨髄検査による腫瘍浸潤や造血低下の確認が重要。慢性炎症による鉄利用障害型(フェリチン高値)と鉄欠乏型(フェリチン低値)を鑑別する。

治療

  • 第一選択:腫瘍の治療(手術・化学療法・放射線療法)
  • 補助療法:赤血球輸血、エリスロポエチン製剤、鉄剤投与、栄養管理
  • 注意点:過度な輸血やエリスロポエチン使用は副作用に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
鉄欠乏性貧血フェリチン低値、小球性低色素性血清鉄・フェリチン低下
慢性炎症による二次性貧血慢性疾患合併、フェリチン正常~高値フェリチン高値、鉄利用障害型
腎性貧血慢性腎疾患合併、エリスロポエチン低下腎機能障害、EPO低値

補足事項

近年、エリスロポエチン製剤の適応や投与基準が見直されている。腫瘍進行例では貧血が予後不良因子となるため、早期介入が推奨される。貧血の原因精査と支持療法のバランスが重要である。

関連疾患