急速進行性糸球体腎炎
概要
急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は、急激な腎機能低下を特徴とし、数週から数か月で末期腎不全に至ることが多い糸球体疾患。血尿・蛋白尿・腎機能障害を三徴とし、組織学的には半月体形成性腎炎を伴うことが多い。早期診断と迅速な治療介入が予後改善の鍵となる。
要点
- 急激な腎機能低下と半月体形成が特徴
- 免疫異常や血管炎など多様な原因
- 早期治療が不可欠で、予後は不良例が多い
病態・原因
主な病態は糸球体の急性炎症と壊死性変化、半月体形成による腎機能障害である。原因は抗糸球体基底膜抗体型(Goodpasture症候群など)、免疫複合体型(ループス腎炎、IgA血管炎など)、ANCA関連血管炎型など多岐にわたる。感染や薬剤が誘因となることもある。
主症状・身体所見
血尿、蛋白尿、急速な腎機能低下(乏尿・無尿)、高血圧、浮腫が主症状である。全身症状として発熱、倦怠感、関節痛、皮疹、肺出血(Goodpasture症候群)などを伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 血尿・蛋白尿 | 円柱尿(赤血球円柱など)も特徴的 |
| 血液検査 | 腎機能障害(Cr↑, BUN↑) | 免疫学的異常(ANCA, 抗GBM抗体, C3↓など) |
| 腎生検 | 半月体形成 | 壊死性変化や免疫沈着を確認 |
腎生検で半月体形成性糸球体腎炎の所見が診断の決め手となる。血清ANCA、抗GBM抗体、補体価などの免疫学的検査が原因疾患の鑑別に有用。画像検査では腎腫大や浮腫を認めることがある。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド大量療法+免疫抑制薬(シクロホスファミドなど)
- 補助療法:血漿交換療法(抗GBM抗体型や重症例)、支持療法(透析、降圧、利尿)
- 注意点:感染症リスク管理、早期治療開始、再発・進行のモニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性糸球体腎炎 | 発症がより緩徐、浮腫と高血圧が強い | 半月体形成は通常みられない |
| IgA腎症 | 上気道感染後の血尿が主体 | IgA沈着が腎生検で特徴的 |
| 慢性糸球体腎炎 | 進行が緩徐、無症候性経過多い | 半月体形成はみられず、慢性変化主体 |
補足事項
RPGNは早期発見・治療が生命予後と腎予後に直結する疾患であり、疑われた時点で迅速な精査・治療導入が必須である。治療抵抗性例や再発例では新規免疫抑制薬や生物学的製剤の適応も検討される。