急性膿胸
概要
急性膿胸は、細菌感染などによって胸膜腔に膿が貯留した状態であり、重篤な呼吸器感染症の一つである。肺炎や外傷、手術後などを契機に発症し、迅速な診断と治療が重要となる。放置すると敗血症や慢性膿胸へ進行する危険がある。
要点
- 胸膜腔に膿が貯留する感染症
- 肺炎や手術後、外傷後に発症しやすい
- 早期の抗菌薬投与とドレナージが治療の基本
病態・原因
多くは肺炎に続発し、細菌(肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、嫌気性菌など)の感染が胸膜腔に波及して発症する。肺外傷や胸部手術、食道穿孔などが原因となることもある。免疫低下や高齢、基礎疾患もリスク因子である。
主症状・身体所見
発熱、胸痛、呼吸困難、咳嗽などが主症状で、進行例では全身状態の悪化や敗血症をきたす。身体所見として患側の胸部呼吸音減弱、打診で濁音、呼吸苦などがみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線/CT | 胸水貯留、液面形成、膿性貯留 | CTで隔壁形成や膿瘍形成も評価 |
| 胸水穿刺 | 膿性液体、白血球増多、低pH | グラム染色・培養で起因菌同定 |
| 血液検査 | 炎症反応上昇(CRP、白血球増多) | 敗血症の評価も重要 |
診断は画像検査による胸水貯留の確認と、胸水穿刺で膿性液体の証明により行う。胸部CTは膿胸の範囲や隔壁形成の有無を詳細に評価できる。培養検査で原因菌の同定も重要。
治療
- 第一選択:抗菌薬投与と胸腔ドレナージ
- 補助療法:全身管理、栄養管理、呼吸補助
- 注意点:ドレナージ不良例では外科的治療(胸腔鏡下手術等)を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺膿瘍 | 肺実質内に膿瘍形成 | 画像で肺内空洞を認める |
| 結核性胸膜炎 | 慢性経過、結核既往あり | ADA高値、結核菌検出 |
| 癌性胸膜炎 | 既知の悪性腫瘍、血性胸水 | 胸水細胞診で悪性細胞検出 |
補足事項
膿胸は早期診断・治療が予後改善の鍵となる。遅れると慢性化や胸膜肥厚、呼吸機能障害を残すことがある。耐性菌や多剤併用の必要性、基礎疾患の有無も治療方針決定に重要。