乳び胸
概要
乳び胸は、胸腔内に乳び(リンパ液)が貯留する状態を指す。主に胸管損傷や閉塞、悪性腫瘍、外傷、手術などが原因となる。乳白色の胸水が特徴で、栄養障害や免疫低下を引き起こすことがある。
要点
- 胸腔内に乳白色のリンパ液が貯留する
- 胸管損傷や悪性腫瘍などが主な原因
- 栄養障害や免疫低下のリスクが高い
病態・原因
乳び胸は主に胸管の損傷や閉塞によって発症し、外傷、外科手術、悪性腫瘍(特にリンパ腫)などが原因となる。胸管から漏出したリンパ液が胸腔内に貯留することで発症する。
主症状・身体所見
呼吸困難、咳嗽、胸痛などの胸部症状がみられる。身体所見としては、呼吸音減弱や胸部打診で濁音が認められることが多い。大量貯留時には循環動態の悪化も起こりうる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線/CT | 胸水貯留像(片側性または両側性) | 胸水の範囲や他疾患の除外に有用 |
| 胸水分析 | 乳白色、トリグリセリド高値、リンパ球優位 | トリグリセリド>110mg/dLで診断的 |
| リンパ管造影 | 胸管損傷部位の特定 | 手術適応や治療方針決定に有用 |
胸水の見た目が乳白色であり、トリグリセリド値が110mg/dL以上、リンパ球優位の細胞成分で診断される。悪性腫瘍や外傷既往の確認も重要。
治療
- 第一選択:絶食・中鎖脂肪酸主体の経腸栄養、胸腔ドレナージ
- 補助療法:輸液・電解質管理、栄養補給、感染予防
- 注意点:長期持続例では胸管結紮術や胸膜癒着術を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性膿胸 | 膿性胸水、発熱・炎症所見 | 胸水は膿性、培養陽性 |
| 癌性胸膜炎 | 悪性腫瘍既往、血性胸水 | 細胞診で悪性細胞検出 |
| 結核性胸膜炎 | 発熱、夜間発汗、結核既往 | ADA高値、結核菌検出 |
補足事項
乳び胸は小児では先天性リンパ管異常が原因となることもある。長期的には脂肪やタンパク喪失による栄養障害や易感染性に注意が必要。近年では保存的治療が奏功する例も増えている。