急性胃拡張

概要

急性胃拡張は、胃が急激かつ著明に拡張し、消化管内容物の通過障害や血流障害を引き起こす緊急性の高い疾患である。過食や術後、精神疾患、外傷などが誘因となることが多い。放置すると胃壊死や穿孔、ショックに至る危険がある。

要点

  • 胃が急激に著明拡張し、消化管通過障害や循環障害を生じる
  • 原因は過食、術後、精神疾患など多岐にわたる
  • 早期診断・減圧処置が救命の鍵となる

病態・原因

急性胃拡張は、胃の運動障害や幽門・十二指腸の機械的・機能的閉塞、過度な胃内容物貯留などにより発症する。過食、術後の麻痺性イレウス、精神疾患(神経性過食症)、外傷、電解質異常などがリスク因子となる。

主症状・身体所見

上腹部膨満、激しい腹痛、嘔気・嘔吐、腹部膨隆、腸雑音減弱などがみられる。進行例ではショックや腹膜刺激症状、胃壊死・穿孔に至ることもある。

検査・診断

検査所見補足
腹部単純X線著明な胃泡の拡張、胃内容物貯留ガス像と液面形成が特徴
腹部CT拡張した胃、内容物貯留、血流障害所見壁肥厚や壊死の評価に有用
血液検査電解質異常、脱水、腎機能障害重症例で代謝性アシドーシス

画像所見で胃の著明な拡張と内容物貯留を確認し、機械的閉塞や壊死・穿孔の有無を評価する。診断は臨床症状と画像所見の組み合わせで行う。

治療

  • 第一選択:胃管挿入による減圧と輸液補正
  • 補助療法:電解質補正、原因疾患の治療、禁食
  • 注意点:壊死・穿孔例では外科的治療、ショック対策が必要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
麻痺性イレウス小腸・大腸も拡張、全腸管運動低下胃以外の腸管も拡張
絞扼性イレウス激しい腹痛、血性嘔吐、ショック腸管血流障害や壊死の画像所見
胃軸捻転症急激な上腹部痛と嘔吐、胃の捻転胃の異常な位置や捻転の画像所見

補足事項

精神疾患患者や術後患者では早期の発見が重要であり、胃減圧の遅れが致命的になりうる。壊死や穿孔例では緊急手術適応となる。再発予防には基礎疾患の管理が不可欠。

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