急性甲状腺炎

概要

急性甲状腺炎は、主に細菌感染を原因とする甲状腺の急性炎症で、発熱や頸部の痛みを伴う。甲状腺疾患の中では比較的まれで、迅速な治療が重要となる。膿瘍形成や重症化のリスクもあるため、早期診断と治療が求められる。

要点

  • 細菌感染による急性炎症が主体
  • 発熱や頸部の腫脹・疼痛が特徴
  • 抗菌薬と膿瘍時の外科的処置が治療の中心

病態・原因

主な原因は黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌感染で、扁桃炎や咽頭炎から波及することが多い。甲状腺の先天性瘻孔や免疫低下もリスク因子となる。まれに外傷や穿刺後に発症する場合もある。

主症状・身体所見

急性発熱、頸部前面の発赤・腫脹・圧痛が典型的で、嚥下時痛や局所熱感を伴う。膿瘍形成時には波動や膿瘍穿破による急激な症状悪化がみられる。全身倦怠感や甲状腺機能異常を伴う場合もある。

検査・診断

検査所見補足
血液検査白血球増多、CRP高値炎症反応の指標
超音波検査甲状腺の低エコー域、膿瘍形成膿瘍や腫脹の局在診断
甲状腺穿刺吸引膿の排出、細菌培養陽性起炎菌の特定に有用

急性発症の頸部腫脹と炎症所見、細菌感染の証明が診断の決め手となる。CTやMRIで膿瘍や周囲組織への波及を評価することもある。

治療

  • 第一選択:広域抗菌薬の投与
  • 補助療法:膿瘍形成例では穿刺・切開排膿、鎮痛・解熱薬
  • 注意点:早期治療で重症化予防、膿瘍放置は重篤な合併症のリスク

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
亜急性甲状腺炎ウイルス感染、疼痛はあるが発熱軽度白血球増多や膿瘍形成は少ない
慢性甲状腺炎(橋本病)無痛性、慢性経過、腫脹が主体炎症所見弱く、自己抗体陽性

補足事項

小児例や免疫不全患者では非定型的な経過をとることがある。治療遅延例では縦隔炎や敗血症など重篤な合併症に注意する必要がある。

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