急性灰白髄炎

概要

急性灰白髄炎は主にポリオウイルスによる中枢神経系の急性感染症で、脊髄前角細胞の障害により急性弛緩性麻痺をきたす。ワクチン導入後は発症頻度が著しく減少したが、散発例や輸入症例に注意が必要である。

要点

  • ポリオウイルス感染による脊髄前角障害が本態
  • 急性弛緩性麻痺が特徴的な主症状
  • 予防はワクチン接種が最も重要

病態・原因

主な原因はポリオウイルス(エンテロウイルス属)感染で、経口感染後、ウイルスが血行性に中枢神経へ移行し、脊髄前角細胞を障害する。まれに他のエンテロウイルスでも類似の病態を呈する。

主症状・身体所見

発熱や咽頭痛などの前駆症状の後、急性の弛緩性麻痺が出現する。麻痺は非対称性で下肢に多く、腱反射の低下や消失を伴う。感覚障害は通常みられない。

検査・診断

検査所見補足
髄液検査軽度細胞増多、蛋白上昇髄液グルコースは正常
ウイルス分離・PCRポリオウイルスまたはエンテロウイルス検出咽頭ぬぐい液・便・髄液などから
神経伝導検査運動神経伝導速度低下感覚神経は保たれる

急性弛緩性麻痺の出現とウイルス検出が診断の決め手となる。MRIでは脊髄前角の高信号変化がみられることがある。

治療

  • 第一選択:対症療法(呼吸管理、安静、疼痛管理)
  • 補助療法:リハビリテーション、理学療法
  • 注意点:二次感染予防、ワクチン未接種者への感染拡大防止

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Guillain-Barré症候群末梢神経障害・感覚障害あり髄液蛋白細胞解離
横断性脊髄炎感覚障害・膀胱直腸障害を伴うMRIで脊髄全体の病変

補足事項

ポリオ撲滅活動により日本では自然感染例はほぼ消失しているが、ワクチン由来株による発症や輸入例が報告されている。急性弛緩性麻痺の症例はサーベイランス対象となる。

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