急性尿細管壊死
概要
急性尿細管壊死(ATN)は、腎臓の尿細管上皮細胞が虚血や毒性物質により壊死し、急性腎障害(AKI)を引き起こす病態。原因としては腎虚血や腎毒性薬剤が多い。適切な治療により可逆性を示すことが多い。
要点
- 虚血または腎毒性物質が主な原因
- 急性腎障害の代表的な病態
- 早期の原因除去と支持療法が重要
病態・原因
腎虚血(ショック、低血圧、手術など)や腎毒性物質(アミノグリコシド系抗菌薬、造影剤、ミオグロビンなど)の暴露により、尿細管上皮細胞が障害・壊死する。壊死細胞が尿細管内で閉塞をきたし、尿細管機能障害と腎血流低下を招く。
主症状・身体所見
急性腎障害による乏尿または無尿、体液貯留、浮腫、高血圧、電解質異常(高カリウム血症など)がみられる。尿細管障害により尿中に円柱や上皮細胞が出現することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | クレアチニン・BUN上昇 | 腎機能障害の評価 |
| 尿検査 | 上皮細胞円柱、尿細管上皮細胞 | 尿細管障害の証明 |
| 尿電解質 | ナトリウム排泄分画(FENa)上昇 | FENa>2%でATNを示唆 |
FENa(尿中ナトリウム排泄分画)が2%以上の場合、腎前性腎不全との鑑別に有用。腎臓超音波で腎腫大や閉塞の有無を確認する。腎生検は難治例や診断困難例で考慮される。
治療
- 第一選択:原因の除去(循環血液量回復、腎毒性薬剤中止など)
- 補助療法:体液・電解質管理、必要時に血液透析
- 注意点:過剰輸液やカリウム負荷に注意、感染予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腎前性腎不全 | FENa<1%、尿比重高値 | FENa低値、尿濃縮 |
| 急性糸球体腎炎 | 血尿・蛋白尿、浮腫 | 赤血球円柱、補体低下 |
補足事項
多くは原因除去で可逆的に回復するが、重症例や高齢者では慢性腎不全へ移行することもある。造影剤腎症の予防には適切な水分補給が重要とされる。