心臓粘液腫
概要
心臓粘液腫は、主に左心房に発生する原発性良性心臓腫瘍であり、成人の心臓腫瘍の中で最も頻度が高い。腫瘍の大きさや部位により心血流障害や塞栓症を引き起こすことがある。しばしば非特異的な症状で発見されるため、診断には画像検査が重要となる。
要点
- 成人心臓腫瘍で最多、左心房に好発
- 血流障害や塞栓症など多彩な症状を呈する
- 診断・治療には外科的切除が標準
病態・原因
心臓粘液腫は内皮下の間葉系細胞由来の良性腫瘍で、多くは孤発性だが家族性も存在する。左心房中隔部に発生しやすく、腫瘍の可動性や大きさにより心内血流の障害や塞栓の原因となる。リスク因子としては家族歴や一部遺伝性症候群(Carney複合)などが挙げられる。
主症状・身体所見
心臓粘液腫は無症状のことも多いが、腫瘍による弁閉塞で失神や呼吸困難、起立時の症状増悪がみられる。腫瘍片の塞栓による脳梗塞や末梢塞栓も重要な症状である。発熱や体重減少、関節痛など全身症状を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 心エコー | 左心房内の腫瘤、可動性・付着部を確認 | 診断の第一選択、非侵襲的 |
| 心臓MRI/CT | 腫瘍の大きさ・位置・質的性状の評価 | 詳細な局在・他腫瘍との鑑別に有用 |
| 血液検査 | 貧血や炎症反応上昇(CRP高値など) | 非特異的、全身症状の補助情報 |
心エコーで可動性腫瘤を確認することが診断の決め手となる。MRIやCTは腫瘍の質的診断や外科的切除計画に役立つ。診断基準は画像上の特徴的所見と臨床症状の組み合わせによる。
治療
- 第一選択:外科的切除術
- 補助療法:術前後の心機能管理、塞栓症予防
- 注意点:再発例や多発例では定期的な経過観察が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 心臓腫瘍 | 他の原発性・転移性腫瘍との鑑別 | MRI/CTで組織性状の違いを評価 |
| 感染性心内膜炎 | 心雑音・発熱・菌血症の有無 | 血液培養陽性、エコーで疣贅像 |
| 血栓症 | 心疾患背景やリスク因子の有無 | エコーで付着部や可動性の違い |
補足事項
家族性心臓粘液腫では多発例や再発例が多く、Carney複合(皮膚色素斑、内分泌腫瘍合併)との関連が知られる。術後も再発リスクがあるため長期フォローが推奨される。