心臓振盪

概要

心臓振盪は、心疾患のない健常者において、胸部への鈍的外力が心周期の特定タイミングで加わることで致死的不整脈(主に心室細動)を誘発する現象。主に若年アスリートのスポーツ中の事故として知られる。即時の対応が予後を左右する。

要点

  • 心臓疾患のない若年者に発生
  • 胸部打撲直後に心室細動など重篤な不整脈を発症
  • 迅速な心肺蘇生と除細動が救命の鍵

病態・原因

心臓振盪は、心電図上T波上行部付近(心室再分極初期)に胸部へ鈍的外力が加わることで、心筋細胞の電気的興奮が乱れ、心室細動などの重篤な不整脈が発生する。野球やサッカー、アイスホッケーなどのスポーツで、ボールやパックが胸部に当たることが主なリスク因子。

主症状・身体所見

胸部への打撲直後に意識消失や脈拍消失が認められる。呼吸停止やチアノーゼ、心肺停止状態となることが多い。既往歴や心疾患のない若年者での突然死として発見されることもある。

検査・診断

検査所見補足
心電図心室細動、不整脈打撲直後に記録される
超音波検査心機能低下、心嚢液貯留なし機械的損傷の除外
血液検査酸素飽和度低下、代謝性アシドーシス二次的変化として

診断は胸部打撲直後の心停止、心室細動の確認、および基礎心疾患の否定による。画像所見では心筋損傷や心嚢液貯留がないことが特徴。

治療

  • 第一選択:即時の心肺蘇生(CPR)とAEDによる除細動
  • 補助療法:酸素投与、二次救命処置、入院管理
  • 注意点:迅速な対応が予後を大きく左右、心筋損傷や心タンポナーデとの鑑別

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
心筋挫傷心嚢液貯留や心機能低下超音波検査で異常所見
心筋梗塞心疾患既往、胸痛持続心電図でST変化・酵素上昇

補足事項

心臓振盪は予防が重要であり、スポーツ時の胸部プロテクター着用などが推奨される。発症時は現場でのAED設置と救護体制の整備が不可欠である。

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