後脊髄動脈症候群

概要

後脊髄動脈症候群は、脊髄の後索領域を栄養する後脊髄動脈の血流障害によって発症する。主に深部感覚障害を呈し、運動障害は軽度または認められない場合が多い。脊髄梗塞の中では稀なタイプである。

要点

  • 後索障害による深部感覚障害が主体
  • 運動麻痺や膀胱直腸障害は軽度または不明瞭
  • 脊髄梗塞の中で頻度は低い

病態・原因

後脊髄動脈の閉塞や狭窄による血流低下が主因であり、動脈硬化や塞栓、外傷、血管炎がリスクとなる。後索は後脊髄動脈の支配を受けており、血流障害により深部感覚伝導路が障害される。

主症状・身体所見

深部感覚(振動覚・位置覚)の障害が著明で、歩行時の失調や感覚性運動失調がみられる。痛覚・温度覚は比較的保たれることが多い。運動麻痺や膀胱直腸障害は目立たないことが多い。

検査・診断

検査所見補足
MRI脊髄後索領域の高信号T2強調像で明瞭、急性期診断に有用
神経学的検査深部感覚障害表在感覚・運動障害は軽度または正常
脊髄血管造影血流障害の同定原因精査や治療方針決定に有用

MRIで後索領域の高信号が認められれば本症を強く示唆する。診断は臨床症状と画像所見の組み合わせで行う。血管造影は原因検索や外科的治療の適応判断で行われる。

治療

  • 第一選択:抗血小板薬や抗凝固療法(原因に応じて)
  • 補助療法:リハビリテーション、対症療法
  • 注意点:再発予防、血行動態の安定化、原因疾患の治療

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
前脊髄動脈症候群運動麻痺・解離性感覚障害が主体MRIで前索・側索の異常
Brown-Séquard症候群障害側の運動麻痺と深部感覚障害、反対側の温痛覚障害半側性の脊髄病変

補足事項

後脊髄動脈症候群は診断が難しく、MRIによる早期診断が重要となる。原因疾患の精査とリハビリの早期開始が予後改善に寄与する。

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