帽状腱膜下血腫
概要
帽状腱膜下血腫は新生児や乳児の頭部に発生する、帽状腱膜と頭蓋骨骨膜の間に血液が貯留する外傷性血腫である。分娩時の吸引や鉗子操作、外傷などが主な原因となる。一般に自然吸収されるが、まれに大量出血による貧血やショックを来すことがある。
要点
- 新生児・乳児の頭部外傷で頻度が高い
- 皮下に広範囲に血腫が形成される
- 大量出血時は循環動態への影響に注意
病態・原因
分娩時の吸引分娩や鉗子分娩、外傷などにより、帽状腱膜下の静脈が損傷し血液が貯留する。特に新生児は帽状腱膜下の結合組織が疎で血腫が広がりやすい。成人では強い頭部外傷が誘因となることがある。
主症状・身体所見
頭部の腫脹・膨隆が主症状で、骨縫合を越えて広範囲に拡大するのが特徴である。皮膚の変色や圧痛を伴うことがあり、重症例では顔色不良や貧血、ショック症状を呈することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部視診・触診 | 骨縫合を越える腫脹 | 皮膚直下で波動を触れることも |
| 頭部超音波 | 皮下に低エコー域 | 血腫の範囲・深さを評価 |
| 血液検査 | 貧血、Hb低下 | 大量血腫時は要チェック |
診断は視診・触診で骨縫合を越える腫脹を認めることで行う。必要に応じて頭部超音波やCTで血腫の範囲や他の頭蓋内病変を評価する。急速な増大や貧血兆候があれば血液検査も行う。
治療
- 第一選択:安静・経過観察(自然吸収が多い)
- 補助療法:貧血・ショック時は輸液・輸血
- 注意点:穿刺・排液は感染リスクのため原則禁忌
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 頭血腫 | 骨縫合を越えない限局性腫脹 | 画像で骨縫合を越えない |
| 急性硬膜下血腫 | 意識障害・神経症状を伴うことが多い | CTで硬膜下に高吸収域 |
| 皮下血腫 | 皮膚直下・小範囲の腫脹 | 触診・超音波で浅い部位 |
補足事項
ほとんどが自然治癒するが、極めてまれに持続的出血や二次感染をきたすことがある。安易な穿刺や切開は避けるべきであり、経過中は貧血や黄疸の発生にも注意する。