子宮内膜異型増殖症
概要
子宮内膜異型増殖症は、子宮内膜の腺組織に異型細胞を伴う増殖性病変で、子宮体癌(特に類内膜癌)の前癌病変とされる。無症候性の場合もあるが、多くは不正性器出血を契機に発見される。エストロゲン過剰が発症に関与し、治療や経過観察が重要となる。
要点
- 子宮体癌の前癌病変である
- エストロゲン過剰が主なリスク因子
- 不正性器出血が主症状
病態・原因
持続的なエストロゲン刺激により、子宮内膜腺の過形成が進行し、細胞異型を伴うようになる。多くは閉経前後の女性に発症し、肥満、多嚢胞性卵巣症候群、エストロゲン製剤投与などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
主な症状は不正性器出血であり、特に閉経後の出血が重要な手がかりとなる。腹痛や下腹部不快感は稀であり、無症状で偶然発見されることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 子宮内膜組織診 | 異型細胞を伴う内膜腺の増殖 | 病理診断が必須 |
| 経腟超音波 | 子宮内膜の肥厚や不整なエコーパターン | 内膜厚10mm以上で精査適応 |
| MRI | 子宮内膜の異常信号や浸潤の評価 | 癌との鑑別・進展度評価 |
診断は子宮内膜組織診による病理学的評価が必須であり、異型細胞の有無と増殖の程度で診断される。画像検査は進展度や癌との鑑別に用いられる。
治療
- 第一選択:子宮全摘術(閉経後や重度異型の場合)、または高用量プロゲスチン療法(妊孕性温存希望例)
- 補助療法:定期的な組織診による経過観察
- 注意点:治療後も再発や子宮体癌発症リスクがあるため長期フォローが必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 子宮内膜増殖症 | 異型細胞を伴わない | 病理で異型なし |
| 子宮体癌 | 明らかな浸潤・腫瘍性増殖 | 病理で癌細胞を認める |
| 子宮内膜ポリープ | 局所性病変、茎を持つ | 超音波・組織診でポリープ確認 |
補足事項
子宮内膜異型増殖症は、治療選択や経過観察の方針決定にあたり患者の年齢や妊娠希望の有無を考慮する必要がある。近年、分子病理学的解析によるリスク層別化も進んでいる。