妊娠糖尿病
概要
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見または発症した糖代謝異常を指す。母体および胎児に様々な合併症のリスクをもたらす。妊娠終了後は多くが正常化するが、将来的な糖尿病発症リスクも高まる。
要点
- 妊娠中に発症する糖代謝異常である
- 母体・胎児ともに合併症リスクが上昇する
- 分娩後も長期的なフォローが必要
病態・原因
妊娠に伴うホルモン変化(ヒト胎盤ラクトゲンなど)によりインスリン抵抗性が増加し、膵β細胞のインスリン分泌能が追いつかない場合に発症する。肥満や高齢妊娠、糖尿病の家族歴がリスク因子となる。
主症状・身体所見
多くは無症状であるが、重症例では口渇、多尿、易疲労感など一般的な糖尿病症状を呈することがある。胎児発育不全や羊水過多、巨大児などが合併症としてみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 75g経口ブドウ糖負荷試験 | 血糖値が基準値を超える | 妊娠中期に全妊婦を対象にスクリーニング |
| 空腹時血糖 | 92mg/dL以上 | 診断基準の一つ |
| HbA1c | 軽度上昇することがある | 病態把握や経過観察に用いる |
診断は日本糖尿病・妊娠学会の基準に従い、75gOGTTで1回でも基準値を超えれば妊娠糖尿病と診断される。画像検査は原則不要だが、胎児発育や羊水量の評価のため超音波検査を行う。
治療
- 第一選択:食事療法と運動療法(適切な体重管理)
- 補助療法:インスリン療法(血糖コントロール不良例)
- 注意点:経口血糖降下薬は原則禁忌、分娩後も経過観察が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 2型糖尿病 | 妊娠前からの高血糖持続 | 妊娠前から血糖異常 |
| 糖尿病合併妊娠 | 既知の糖尿病患者が妊娠 | 妊娠前から糖尿病診断あり |
補足事項
妊娠糖尿病は将来の2型糖尿病発症リスクが高いため、分娩後も定期的な血糖モニタリングが推奨される。胎児の巨大児や新生児低血糖などの合併症にも注意が必要である。