大動脈解離

概要

大動脈解離は大動脈壁の内膜が裂け、血液が壁内に入り込んで偽腔を形成する急性の血管疾患である。突然発症する激しい胸背部痛が特徴で、致死的となることも多い。高血圧や結合織疾患が主要なリスク因子である。

要点

  • 急激な胸背部痛が典型的初発症状
  • 早期診断・治療が生命予後を大きく左右する
  • 高血圧やMarfan症候群などが発症リスク

病態・原因

大動脈壁の内膜に裂け目が生じ、血液が中膜に進入して大動脈壁内に偽腔を形成する。高血圧が最大のリスク因子であり、Marfan症候群などの結合織疾患、外傷、心臓手術既往も誘因となる。

主症状・身体所見

突然発症する激烈な胸背部痛が最も特徴的で、痛みは移動することがある。血圧左右差、脈の左右差、ショック、意識障害や脳・臓器虚血症状もみられる。心タンポナーデや大動脈弁閉鎖不全を合併することもある。

検査・診断

検査所見補足
造影CT/MRI大動脈内膜の二重線(intimal flap)、偽腔の形成診断に最も有用
胸部X線縦隔拡大、胸水、心陰影拡大非特異的、初期スクリーニング
心エコー大動脈弁逆流、心タンポナーデ、内膜フラップ緊急時や不安定例で有用

造影CTやMRIでintimal flapや偽腔の存在を確認し診断する。Stanford分類(A型:上行大動脈含む、B型:下行大動脈のみ)で治療方針を決定する。心エコーはベッドサイド評価に有用。

治療

  • 第一選択:A型は緊急手術、B型は降圧薬による内科的治療
  • 補助療法:鎮痛、絶対安静、ICU管理、輸液・臓器保護
  • 注意点:高血圧管理の徹底、再発・合併症(破裂・臓器虚血)に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性心筋梗塞痛みが胸部に限局し放散しにくい心電図異常、心筋逸脱酵素上昇
肺塞栓症呼吸困難やチアノーゼを伴いやすいDダイマー高値、CTで肺血栓
大動脈瘤破裂徐々に進行する腹背部痛、ショックCTで瘤形成・出血像

補足事項

Stanford分類に基づいた治療選択が重要であり、A型の緊急手術適応を見逃さないことが予後改善に直結する。慢性期には定期的な画像フォローと厳格な血圧管理が必要である。

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