大動脈弁狭窄症
概要
大動脈弁狭窄症は、左心室と大動脈の間にある大動脈弁が狭くなり、血液の駆出障害をきたす心弁膜症である。主に加齢による変性やリウマチ熱、先天性二尖弁が原因となる。進行すると心不全や突然死のリスクが高まる。
要点
- 加齢性変性が最多の原因で高齢者に多い
- 狭窄が進行すると労作時呼吸困難や失神を呈する
- 心エコーで診断し、重症例は外科的治療が必要
病態・原因
大動脈弁の石灰化や変性、先天性二尖弁、リウマチ性変化などにより弁口面積が減少し、左心室から大動脈への血流が障害される。左心室の圧負荷が増大し、心筋肥大や心不全に至る。
主症状・身体所見
労作時の息切れ、失神、狭心痛が三徴とされる。進行例では起坐呼吸や夜間発作性呼吸困難、心不全徴候を認める。聴診では収縮期駆出性雑音(心尖部への放散)や遅脈・小脈が特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 心エコー | 弁口面積狭小化、弁の石灰化、圧較差上昇 | 診断・重症度評価に必須 |
| 心電図 | 左室肥大所見 | |
| 胸部X線 | 左室拡大、肺うっ血 |
心エコーにより弁口面積(1.0cm²未満で重症)、圧較差(mean pressure gradient ≥40mmHg)などで重症度を評価する。心臓カテーテル検査が補助的に用いられることもある。
治療
- 第一選択:外科的大動脈弁置換術(SAVR)または経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)
- 補助療法:心不全に対する薬物療法(利尿薬、ACE阻害薬など)、感染性心内膜炎予防
- 注意点:無症候性軽症例は経過観察、重症例は早期治療、脱水・過度な降圧薬は慎重に
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 僧帽弁狭窄症 | 拍動性頸静脈、拡張期ランブル、肺うっ血 | 心エコーで僧帽弁狭窄、肺高血圧 |
| 大動脈弁閉鎖不全症 | 拡張期雑音、脈圧増大、心尖部拍動 | 心エコーで逆流所見、弁の不全閉鎖 |
補足事項
高齢化に伴い頻度が増加しており、TAVIの普及で高齢・ハイリスク患者にも治療選択肢が拡大している。無症候性でも重症例は突然死リスクがあるため定期的な経過観察が重要。