多発性内分泌腺腫症2型
概要
多発性内分泌腺腫症2型(MEN2型)は、RET遺伝子変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患であり、甲状腺髄様癌、副腎髄質の褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症を特徴とする。発症年齢や臨床像によりMEN2A型、MEN2B型、家族性甲状腺髄様癌型に分類される。早期診断と予防的治療が予後改善に重要である。
要点
- RET遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患
- 甲状腺髄様癌・褐色細胞腫・副甲状腺機能亢進症が特徴
- 予防的甲状腺全摘が推奨される
病態・原因
MEN2型はRETプロトオンコジーンの生殖細胞系列変異によって発症する。変異により多くの内分泌腺が腫瘍化しやすくなり、特に甲状腺髄様癌が高頻度にみられる。家族性発症が多く、遺伝カウンセリングが重要となる。
主症状・身体所見
甲状腺腫瘍(髄様癌)による頸部腫瘤や嗄声、褐色細胞腫による高血圧や発作性頭痛、発汗、動悸、副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症症状(多飲多尿、筋力低下など)がみられる。MEN2B型では神経腫やマルファン様体型も特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中カルシトニン | 高値 | 甲状腺髄様癌の腫瘍マーカー |
| カテコールアミン | 尿中・血中で高値 | 褐色細胞腫の診断に有用 |
| 血清Ca・PTH | 高カルシウム血症・PTH高値 | 副甲状腺機能亢進症の評価 |
RET遺伝子変異解析が確定診断に必須。画像診断(頸部エコー、腹部CT/MRI、MIBGシンチグラフィなど)で腫瘍の局在や多発性を評価する。診断基準は臨床三徴のいずれか+遺伝子変異の証明。
治療
- 第一選択:予防的甲状腺全摘出術(RET変異陽性例)
- 補助療法:褐色細胞腫・副甲状腺腫瘍の外科的切除、定期的スクリーニング
- 注意点:家族歴の聴取と遺伝カウンセリング、褐色細胞腫手術前の十分な術前管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 多発性内分泌腺腫症1型 | 下垂体・副甲状腺・膵内分泌腫瘍 | 甲状腺髄様癌・褐色細胞腫はみられない |
| 副甲状腺機能亢進症 | 高Ca血症のみ、他腫瘍の合併なし | RET変異や褐色細胞腫なし |
| 褐色細胞腫(孤発例) | 他の内分泌腫瘍の合併がない | 遺伝子変異なし、単発発症 |
補足事項
予防的甲状腺摘出の時期はRET変異のタイプや家族歴により異なる。MEN2B型は進行が早く、幼児期からの管理が必要。定期的な生化学的・画像的スクリーニングが生涯にわたり重要である。