壊疽性膿皮症
概要
壊疽性膿皮症は、皮膚に急速に進行する壊死性潰瘍を形成する稀な炎症性疾患で、自己免疫機序が関与すると考えられている。しばしば炎症性腸疾患や関節リウマチなどの基礎疾患を合併する。感染症とは異なり、抗菌薬が無効で免疫抑制療法が主となる。
要点
- 急速に進行する痛みを伴う潰瘍性皮膚病変が特徴
- 炎症性腸疾患などの基礎疾患を高頻度に合併
- 免疫抑制療法が治療の中心であり、抗菌薬単独では効果が乏しい
病態・原因
壊疽性膿皮症は好中球の異常な浸潤と活性化による皮膚組織の破壊が主体で、自己免疫反応やサイトカイン異常が関与する。炎症性腸疾患(特に潰瘍性大腸炎やCrohn病)、関節リウマチ、血液疾患などの基礎疾患を伴うことが多い。
主症状・身体所見
初発は紅斑や小膿疱として生じ、急速に拡大して辺縁が紫色を帯びた深い潰瘍を形成する。強い疼痛を伴い、下肢に好発するが全身どこでも発症しうる。潰瘍辺縁は不整で、滲出や壊死組織を伴う。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚生検 | 好中球浸潤、壊死性変化 | 特異的所見ではないが診断補助 |
| 血液検査 | 炎症反応上昇 | 白血球増多、CRP高値など |
| 培養検査 | 陰性(非感染性) | 二次感染合併時は陽性となることも |
診断は臨床像と基礎疾患の有無、除外診断(感染症、血管炎、腫瘍など)をもとに総合的に行う。皮膚生検は診断補助となるが、特異的所見はない。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド全身投与
- 補助療法:シクロスポリン、タクロリムス、抗TNFα抗体、局所療法
- 注意点:外科的デブリードマンは悪化するため禁忌、基礎疾患のコントロールが重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 壊死性筋膜炎 | 強い全身症状・急速進行・感染徴候 | 培養陽性・画像で筋膜炎症像 |
| 蜂窩織炎 | 境界不明瞭な紅斑・腫脹・発熱 | 細菌培養陽性・膿瘍形成なし |
補足事項
壊疽性膿皮症はpathergy現象(軽微な外傷で新たな病変が出現)を示すことがあり、侵襲的処置は極力避ける。治療反応性や再発傾向が強いため、長期的なフォローが必要。