卵巣過剰刺激症候群
概要
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵誘発剤の使用後に卵巣が異常に腫大し、血管透過性亢進による体液貯留や血液濃縮をきたす疾患。主に不妊治療中の女性に発症し、重症例では生命を脅かすこともある。腹水や胸水の貯留、血栓症などの全身合併症に注意が必要。
要点
- 排卵誘発剤による医原性合併症
- 血管透過性亢進と体液貯留が主病態
- 重症例では血栓症や腎不全も発生
病態・原因
主な発症機序は、hCG投与や排卵誘発剤による卵巣の過剰反応で、血管内皮増殖因子(VEGF)などが関与し血管透過性が亢進する。不妊治療中の若年女性、特に多嚢胞性卵巣症候群などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
腹部膨満感、腹痛、悪心・嘔吐、急激な体重増加が主症状。重症例では腹水や胸水貯留、呼吸困難、乏尿、下肢浮腫、血栓症徴候などもみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 超音波検査 | 卵巣腫大、腹水貯留 | 卵巣径5cm以上で要注意 |
| 血液検査 | ヘマトクリット上昇、白血球増多 | 血液濃縮・炎症マーカー上昇 |
| 腹部X線/CT | 腹水・胸水の確認 | 重症例で施行 |
診断は臨床症状と超音波所見、血液検査(ヘマトクリット上昇、電解質異常、腎機能障害)を総合して行う。重症度分類(軽症・中等症・重症)や腹水・胸水の有無も評価基準となる。
治療
- 第一選択:安静・輸液管理・電解質補正
- 補助療法:腹水穿刺、抗凝固療法、酸素投与
- 注意点:重症例は入院管理と血栓症予防を徹底
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 多嚢胞性卵巣症候群 | 慢性的な月経異常・卵巣腫大 | ホルモン異常が主体 |
| 腹膜炎 | 発熱・腹膜刺激症状 | 炎症反応・感染兆候強い |
| 異所性妊娠 | 下腹部痛・出血・妊娠反応陽性 | 妊娠反応・超音波所見 |
補足事項
OHSSの予防には低用量の排卵誘発剤使用やhCG投与の回避、GnRHアゴニストトリガーなどが有効とされる。重症化を避けるためには早期発見・早期対応が重要である。