前脊髄動脈症候群

概要

前脊髄動脈症候群は、前脊髄動脈の閉塞や低灌流により脊髄前2/3の虚血が生じる疾患である。急性発症の対麻痺や解離性感覚障害が特徴的で、主に大動脈疾患や動脈硬化が原因となる。緊急性が高く、早期診断と治療が重要となる。

要点

  • 急性発症の対麻痺および解離性感覚障害が特徴
  • 前脊髄動脈領域の虚血が主病態
  • 早期治療介入が予後改善に重要

病態・原因

前脊髄動脈症候群は、前脊髄動脈の閉塞や低灌流により脊髄前2/3の領域に虚血が生じることで発症する。原因としては大動脈解離、動脈硬化、血栓・塞栓、外傷や低血圧などが挙げられる。

主症状・身体所見

急性の対麻痺、温痛覚障害(解離性感覚障害)、膀胱直腸障害が主な症状である。深部感覚(位置覚・振動覚)は比較的保たれることが多い。

検査・診断

検査所見補足
MRI(脊髄)脊髄前方の高信号域DWIやT2強調像で有用
脊髄造影血流障害の確認血管閉塞や狭窄の評価
脳脊髄液検査多くは正常鑑別のために施行されることあり

MRIで脊髄前方の虚血性変化を認めることが診断の決め手となる。臨床的には急性発症の対麻痺および温痛覚障害が診断の手がかりとなる。

治療

  • 第一選択:原因疾患(大動脈解離など)の治療と脊髄灌流圧の維持
  • 補助療法:リハビリテーション、対症療法(排尿管理・褥瘡予防など)
  • 注意点:早期治療介入、低血圧や貧血の回避

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
後脊髄動脈症候群深部感覚障害が主、運動障害は軽度MRIで後索の障害
脊髄梗塞症状や障害部位が多様、灌流域による違いMRIで障害領域が異なる
脊髄腫瘍進行性経過、疼痛や局所症状が目立つMRIで腫瘍性病変を認める

補足事項

高齢者や動脈硬化のある患者でリスクが高く、外科手術や大動脈疾患の合併時にも注意が必要である。補助循環装置装着時や心臓手術後にも発症しうる。

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