切迫性尿失禁
概要
切迫性尿失禁は、急激な尿意切迫感により排尿を抑えきれず、漏れてしまう状態を指す。過活動膀胱に伴うことが多く、高齢者や女性に多い。生活の質(QOL)を著しく低下させることがある。
要点
- 急な尿意とともに尿失禁が生じる
- 過活動膀胱が主な病態
- 高齢女性に多くみられる
病態・原因
膀胱平滑筋(排尿筋)の過活動により、意図しない膀胱収縮が生じることで発症する。原因は原発性(特発性)のほか、脳血管障害や脊髄疾患など神経因性、膀胱炎などの炎症性、加齢や閉経後のホルモン変化などがある。
主症状・身体所見
急激な尿意切迫感と、それに続く尿失禁が特徴的である。夜間頻尿や昼間の頻尿、尿意切迫感のみの場合もある。身体所見は乏しいが、神経学的異常や骨盤底筋の筋力低下がみられることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 感染や血尿の有無 | 膀胱炎・腫瘍などの除外 |
| 膀胱内圧測定 | 排尿筋過活動の確認 | 過活動膀胱の診断に有用 |
| 超音波検査 | 残尿量・膀胱壁肥厚など | 器質的疾患の評価 |
診断は主に問診(症状・排尿日誌)と尿検査で行い、必要に応じて膀胱内圧測定や超音波検査を追加する。神経学的異常が疑われる場合は画像検査や神経学的評価も考慮する。
治療
- 第一選択:抗コリン薬やβ3作動薬による薬物療法
- 補助療法:骨盤底筋訓練、行動療法、生活指導
- 注意点:高齢者では薬剤副作用(口渇、便秘、認知機能低下)に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腹圧性尿失禁 | 咳や運動時に尿漏れ | 膀胱内圧測定で腹圧時のみ漏れる |
| 溢流性尿失禁 | 持続的な尿漏れ、排尿困難 | 残尿量増大、膀胱拡張 |
補足事項
切迫性尿失禁はQOLへの影響が大きいため、早期診断と適切な治療介入が重要である。薬物療法の副作用や多剤併用に注意し、非薬物療法も積極的に導入する。