光線角化症(老人性角化症)
概要
光線角化症(老人性角化症)は、長年の紫外線曝露により高齢者の皮膚に生じる前癌病変である。主に顔や手背など露光部に発生し、将来的に有棘細胞癌へ進展するリスクを持つ。高齢者に多く、慢性的な日光曝露が最大の危険因子となる。
要点
- 紫外線曝露による表皮の異型増殖が主体
- 前癌病変であり有棘細胞癌への進展リスクあり
- 露光部(顔・手背など)に好発
病態・原因
慢性的な紫外線(UV)曝露が表皮角化細胞のDNA損傷を引き起こし、異型細胞の増殖をもたらす。加齢や免疫抑制状態もリスク因子となる。皮膚の光老化が基盤となり発症する。
主症状・身体所見
初期は小さな紅斑や褐色斑で、次第に表面がざらついた角化性の痂皮や鱗屑を伴う。しばしば多発し、触れると硬くざらつくのが特徴。顔、耳、手背、前腕など日光曝露部に好発する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚視診 | ざらついた紅斑~褐色斑、角化性病変 | 日光曝露部に多発 |
| 皮膚生検 | 表皮の異型角化細胞、核異型、角化亢進 | 有棘細胞癌との鑑別 |
臨床的には慢性紫外線曝露歴と特徴的な皮疹で診断するが、悪性化や鑑別困難例では皮膚生検を行う。ダーモスコピーでの特徴的パターンも参考となる。
治療
- 第一選択:液体窒素凍結療法
- 補助療法:5-FU外用、イミキモド外用、光線力学療法
- 注意点:病変の悪性化兆候には組織学的評価を行い、進展例は外科的切除を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 脂漏性角化症 | 境界明瞭で疣状・脂漏性の表面 | 皮膚生検で異型なし |
| 有棘細胞癌 | 潰瘍形成や浸潤傾向 | 明らかな異型細胞増殖 |
| 乾癬 | 銀白色鱗屑と紅斑、掻痒感 | 病理でMunro微小膿瘍 |
補足事項
紫外線防御(帽子・日焼け止め)が予防に有効。免疫抑制患者では多発しやすく、定期的な皮膚チェックが重要。進行例は有棘細胞癌への移行率が高いため注意を要する。