偽性アルドステロン症
概要
偽性アルドステロン症は、アルドステロンの作用が過剰に現れるが、実際にはアルドステロン分泌は正常または低下している状態を指す。主に薬剤(特にグリチルリチン含有製剤)や遺伝的要因により発症し、低カリウム血症や高血圧などの症状を呈する。電解質異常が中心となる疾患であり、原因薬剤の中止や対症療法が重要となる。
要点
- アルドステロン分泌は正常または低値だが、作用増強による症状を呈する
- 主因はグリチルリチン製剤など薬剤性が多い
- 低カリウム血症・高血圧・代謝性アルカローシスが三徴
病態・原因
主な原因は甘草(グリチルリチン)含有薬剤の長期使用で、11β-HSD2阻害によりコルチゾールがアルドステロン受容体に作用しやすくなる。まれに遺伝性疾患(11β-HSD2欠損症)や重度の腎疾患も原因となる。
主症状・身体所見
低カリウム血症による筋力低下、四肢麻痺、脱力感が主であり、重症例では不整脈や高血圧症状もみられる。浮腫や多尿、時に代謝性アルカローシスも伴う。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清カリウム | 低値 | 低カリウム血症が特徴的 |
| 血中アルドステロン | 低値または正常 | レニン・アルドステロン系の抑制 |
| 血中レニン活性 | 低値 | |
| 血液ガス分析 | 代謝性アルカローシス | |
| 尿中カリウム排泄 | 高値 | 腎性カリウム喪失を示唆 |
アルドステロン値が低値または正常で、低カリウム血症と代謝性アルカローシスを認め、薬剤歴(特に甘草製剤)や11β-HSD2活性低下が診断の決め手となる。画像検査は原則不要。
治療
- 第一選択:原因薬剤の中止
- 補助療法:カリウム補充、スピロノラクトンなどカリウム保持性利尿薬
- 注意点:再発予防のため薬剤性の確認と再投与回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 原発性アルドステロン症 | アルドステロン高値、腫瘍性病変 | アルドステロン高値、レニン低値 |
| Liddle症候群 | 若年発症、高血圧、家族歴 | アルドステロン・レニンともに低値 |
補足事項
高齢者や腎機能障害例で重症化しやすいため、甘草含有薬剤の長期投与には注意が必要。遺伝性の場合は家族歴の聴取も重要となる。