低マグネシウム血症
概要
低マグネシウム血症は、血清マグネシウム濃度が基準値未満に低下した状態であり、神経・筋症状や心電図異常など多彩な臨床症状を呈する。腎疾患、消化管障害、薬剤性、栄養障害など多様な原因が存在する。重症例では生命に関わる不整脈や痙攣を引き起こすことがある。
要点
- 多彩な神経・筋症状や心電図異常を呈する
- 腎・消化管疾患や薬剤、低栄養が主な原因
- 低カリウム血症や低カルシウム血症を合併しやすい
病態・原因
マグネシウムは主に骨と細胞内に存在し、腎臓と消化管で調節される。腎性喪失(利尿薬・Gitelman症候群など)、消化管からの吸収低下(慢性下痢・吸収不良症候群)、薬剤(アミノグリコシド・シスプラチンなど)、アルコール依存や低栄養状態が主な原因となる。
主症状・身体所見
筋力低下、振戦、テタニー、痙攣、意識障害などの神経・筋症状が特徴的。重症例では不整脈や心停止も起こり得る。しばしば低カリウム血症や低カルシウム血症を合併するため、これらに伴う症状もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清マグネシウム | 低値(1.8mg/dL未満) | 診断の基本、重症度評価に有用 |
| 血清カリウム・カルシウム | 低値を合併することが多い | 併存症状の評価 |
| 尿中マグネシウム | 排泄増加または減少 | 腎性か消化管性かの鑑別に有用 |
血清マグネシウム値の低下が診断の決め手。腎性か消化管性かの鑑別には尿中マグネシウム排泄量の測定が参考となる。心電図ではQT延長、T波平坦化、不整脈などがみられることがある。
治療
- 第一選択:マグネシウム補充(経口または静脈投与)
- 補助療法:原因疾患の治療、低カリウム・低カルシウムの補正
- 注意点:急速補正による高マグネシウム血症や腎機能障害に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 低カリウム血症 | 四肢麻痺や不整脈、心電図異常 | 血清カリウム低値、マグネシウムは正常または低値 |
| 低カルシウム血症 | テタニー・痙攣、QT延長 | 血清カルシウム低値、マグネシウムは低値の場合あり |
補足事項
低マグネシウム血症は慢性アルコール摂取者や慢性消化管疾患患者で特に注意が必要。低マグネシウムは補正困難な低カリウム血症や低カルシウム血症の原因となるため、治療時はこれらの補正も同時に行うことが重要。