亜鉛欠乏症
概要
亜鉛欠乏症は体内の亜鉛が不足することで生じる栄養障害であり、皮膚症状や味覚障害、免疫機能低下など多彩な症状を呈する。慢性疾患や消化管疾患、偏った食事が主な原因となる。早期診断と補充療法が重要である。
要点
- 皮膚炎や口内炎、脱毛など多彩な皮膚症状を呈する
- 味覚障害や食欲不振、免疫低下が特徴的
- 慢性疾患や消化管障害、偏食がリスク因子
病態・原因
亜鉛は多くの酵素の補因子として重要で、細胞分裂や免疫、皮膚・粘膜の維持に関与する。原因としては消化管からの吸収障害、慢性下痢、偏食、アルコール多飲、慢性疾患、長期輸液管理などが挙げられる。
主症状・身体所見
皮膚炎(特に四肢や口囲の湿疹様皮疹)、口内炎、脱毛、味覚障害、食欲不振、創傷治癒遅延、免疫低下による易感染性などがみられる。成長障害や性腺機能低下も小児で重要な所見である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清亜鉛値 | 低値(<60 μg/dL程度) | 軽度欠乏でも症状出現あり |
| アルカリホスファターゼ | 低値 | 亜鉛依存酵素のため低下 |
| 血清銅値 | 正常または上昇 | 銅とのバランスも参考 |
血清亜鉛値の低下が診断の基本となるが、臨床症状やリスク因子の評価も重要。症状と血清亜鉛値の両方をもって診断する。皮膚生検や味覚検査も補助的に用いられる。
治療
- 第一選択:経口亜鉛製剤による補充療法
- 補助療法:原因疾患の治療、栄養指導、皮膚症状への対症療法
- 注意点:過剰投与による銅欠乏や消化器症状に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| ビタミンB2欠乏症 | 口角炎や舌炎が主体、皮膚炎は軽度 | 亜鉛値は正常 |
| 皮膚カンジダ症 | 皮膚症状だが白色苔癬や鱗屑が特徴 | 真菌検査陽性 |
| 鉄欠乏性貧血 | 貧血症状主体、皮膚症状は乏しい | フェリチン・鉄低下 |
補足事項
亜鉛欠乏は高齢者や消化管疾患患者、長期入院患者で特に多く、早期発見が重要である。近年は味覚障害の原因として注目されている。慢性疾患や薬剤(ACE阻害薬、利尿薬)もリスクとなる。